HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「アンジー・クレーマーにさよならを」、あるいは「世界をあきらめる」

まず、アンジーにさよならを言うのはグレアムでなければならないことを明確にしておこう。「祈るよりも働け」だ。

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

地域通貨から、バタフライ効果、人類の未来、ラテン語、長い歴史を持つ地方都市、ボルヘス・・・、まぁ、よくもこれだけ私の大好きなものを詰め込んでくれたものだ。ジャック・ファニーはさすがに読んでいないが、ゲイルズバーグに影響を受けた内田善美はどうしようもなく好きだ。「アンジー・クレーマ」が出てくる、「はみだしっ子」はまだ当時小学校にはいったばかりの私の子を洗脳しつくすくらい何度も読んだ。

空の色ににている (ぶーけコミックス)

空の色ににている (ぶーけコミックス)

はみだしっ子 (第1巻) (白泉社文庫)

はみだしっ子 (第1巻) (白泉社文庫)

ショックだったのは、この本は「1」にすぎず、「2」まで読まないといけないことに読了近くなってはじめてきずいたことだ。とりあえず、Amazonに発注しておこう。

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

本書はとかなきゃいけないなぞの宝庫でもある。地域通貨と「トリブル」の皮肉はなんとかわかったぜい。無限に増殖する生き物の名前を、増殖しないのが身上の大福帳方式の地域通貨につけたってことだね。

あと、なぞといえば...、あ、なに「アンジー・クレーマーにさよならを」って作品マジで存在するわけ。手が込みすぎ!

ぼくたちのリアル・フィクション

2003年7月号の特集第1弾から2年。次世代型の“物語”は進化を続けている。
文庫JAより待望の長篇をリリースする新城、桜坂ほか、新鋭・平山、海猫沢の
読切4篇、豪華5本立て対談・インタビュウで、“物語”の現在をおつたえする。

[特集内容]
「アンジー・クレーマーにさよならを」 新城カズマ

(以下略)

ヤフオク!

本書の高校生五人組が楽しんだという未来の「年表ゲーム」が示す方向は、特に私が日ごろから想像していた結論に悲しいことに限りなく近い。

だからそんなわけで、年表ゲームを繰りかえし、その結果を見ているうちに、なんとかくぼくらがみんな信じ始めてたのは、こんなことだった。・・・・・きっと数十年以内に、ぼくらの住む世界は、主権国家の体裁を整えていられる少数の先進地域と、人権を売買して先進地域のための傭兵供給源に堕する大半の地域に分かれるだろう。そして人類は、決して銀河系いっぱいに広まったりはしないだろう。ぼくらは曲解と誤謬の沼の中で静かに窒息していくだろう。『未来』という輝かしくも安っぽい鍍金は、国際貿易の退潮とともに、どこかへ・・・・・ぼくらとは無関係の深くて暗い底のほうへ、流れて落ちてしまうことだろう。

−−−−そもそも、『未来』って観念そのものが、近代に固有のフィクションでしかないのよ。

本書が05年に書かれていたことは注目にあたいする。

そして、この主人公のタクの言葉は、そのまま池田先生への答えではないだろうか?

これほど経済学者の常識と世間の常識が乖離しているケースも珍しい。しかもそれは「幸せとは何か」というきわめて根本的な問題だ。

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ちなみに、作者の新城カズマさんはTwitterにいらっしゃった。


■一年前にも同じようなこと書いている

ふと過去ログをみていたら、ほぼ同じようなことを同じようなスタイルで書いていた。

http://d.hatena.ne.jp/hihi01/20080725/1216940341