「千と千尋の神隠し」のカオナシが米国の金融市場に思えてきた。土くれを金する「信用取引」によって、なんでも抱え込む。抱え込み過ぎて、にがだんごを食べて(調整局面に入り)ぐちゃくちゃになった食べ物を吐き出して、(信用)収縮していった。「顔がない」というのはファンドなどの金融派生商品の匿名性の象徴。「デフォルト(破産)したら、肩代わりする」という昔でいえば一対一の絶対の信頼がなければ成立しえなかった保証を、誰の債務だかわからないまま売り買いの対象にしてしまうという、CDSとかいろいろ話題になっている金融商品は匿名性の最たるものだ。
ゆばーばとぜにーばが双子の姉妹というのも、商品・サービスと貨幣の対を意味する。貸借対照表上で、資産と資本がバランスしなければならない双子の関係にあることの象徴だ。アニメで描かれるゆばーばは、尊大な経営者そのものだ。サービスを提供する従業員たちに厳しいのに、肥大した赤ん坊である「坊」(顧客)を限りなく甘やかす。オールマイティーでありながら、致死の呪を受けた契約の印を持つのが、貨幣の象徴であるぜにーば。金融商品が契約行為から信用創造へとつながる。宴(ブーム)の中の商品・サービスと、膨張する貨幣は一対でなければならない。
金融再生、経済の次の種子というのは、千尋みたいな生き方から生まれる。すべてを吐き出(信用収縮)しきったあとのカオナシ(金融機関、匿名性の貨幣)を引き取ったぜにーば(貨幣、貨幣システム)との関係*1や、鍛えなおされた坊(消費者)、そして、生まれ変わった千尋(主体性、自分の問題として捉えなおす姿勢)。大騒ぎの後のぜにーばはごくごく落ち着いていた。リアルにまで持ち帰る髪どめもつくってくれた。最後の問題は貨幣の在り方にやはり行きつくのかもしれない。
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■追記
ひさびさにid:BigLoveさんからトラバをいただいた。
果たしてこれから、白い龍は、ぜにーばの呪縛から解き放たれて、健康な姿を取り戻すのか。
現今の社会情勢と”千と千尋の神隠し” - BigLoveの日記
コハクは、やっぱり自然なんでしょうなぁ。ももちさんがよくおっしゃる無償贈与の送り主としての取り戻すべき人が生きる環境そのものかなと。
朝、ぼんやりとこのエントリーとこれまで書いてきたエントリーの関連性を考えていた。もう忘れてしまった。時間があればもう一度考える。