HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

虚無が貨幣の役割を二つに分けた

あまり思考がまとまらない。でも、ハーデスさんがおっしゃるような「架空貨幣と現実貨幣」の分離がどのように起こったとエンデが考え見ることは意味ある。

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

The Neverending Story

The Neverending Story

はてしない物語」の中に、「虚無」の使いのグモーク*1と、バスチアンをファンタージェンに招請する旅を続けるアトレイユとの間の対話がでてくる。その中で、グモークは「虚無」にファンタージェンの生き物が飲み込まれてしまうと、現実の世界で「嘘」になってしまうと語る。

"When it come to controlling human beings there is no better instrument than lies. Because, you see, humans live by beliefs. And beliefs can be manipulated. The power to manipulate beliefs is the only thing that counts."

(私訳)

「人間をおもいのままにコントロールしようとしたら、嘘にまさる方法はないさ。だってさ、わかるだろ、人間は信じていることに頼って生きているんだ。信じていることを操作するのはたやすいさ。信じていることを捜査する力だけが、頼りになるってものさ。」

ファンタジー作品の中とは思えないセリフではないか?勉強会の話でいえば、「お金は力だ」であるのは、人々がそう信じているからにほかならないことが出てきた。

"Maybe you'll help them persuade people to buy thing they don't need, or hate things they know nothing about, or hold beliefs that make them easy to handle, or doubt the truth that might save them."

(私訳)

(虚無に飲み込まれて、現実の世界の「嘘」になりはててしまえば)「お前は、せいぜい人間に全然必要でないなにかを買おうとさせるか、まったく知らないものを嫌いにさせるか、人を簡単におもいのままにする信念をもたせるか、自分たちを救ったかもしれない真実を疑わせるか、に使われるだろう。」

本来真理であるものに目をつぶり、それを拒絶することは、「嘘」が入り込む余地をつくることに他ならない。お金は確かに有益だ。しかし、お金でお金を買う度合がすぎるとそれは人の幸せや、交換することにより生まれる価値を中紹介してしまい、「ファンタジー」になってしまう。

"The human world is full of weak-minded people, who think they're as clever as can be and are convinced that it's terribly important to persuade even the children that Fantastica doesn't exist."

(私訳)

「人の世界は、こころの弱い連中でいっぱいなのさ。そいつらは、自分は誰よりも賢いと思っていて、子どもたちにさえファンタスティカなんてないんだと信じさせることがとてつもなく大事だと信じ込まされているんだ。」

「大人たちはなぜ竜を怖がるのか?」*2
というル=グインのエッセイがあったな。

*1:たまたま、手元に英語版しかないので間違った発音をしているのかもしれない。

*2:本当は"Why Are Americans Afraid of Dragons?というタイトルだった。