地球上の物質はひとつも増えていないのに、地球の環境をこれだけ自分の側に人間が寄せられた原因はお金なのだね。
そして、次第しだいに相手を信用しても大丈夫だということを学習し、「金利」が小さくなることで信用は創造されてきた。
経済活動の中で金利を取れるようになったことは、貨幣そのものの発見と同じくらいすごいことではないだろうか?

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貨幣そのものはまだ物々交換の延長線上にあり、どちらかというと取引相手よりも目の前で交換(売買)しようとする商品の価値に視線が言っている。貸し借り、証文、金利払いなどは、取引相手をどう信用信頼するかということだ。将来相手がどこにいるか分からないのでは、貸し借りそのものが成立しようがない。そして、経済の発達を通して金利が一貫して下がっている*1ことを見れば、相手を特定する、トラックする仕組みや、金を回収するコストは一貫して下がってきたと言えるのではないだろうか?
しかし、逆に言えば「信用創造」という言葉が直接に意味するように、相手が未来に渡り生み出すであろう「価値」を信頼の源泉としてローンと金利の仕組みはできている。割賦販売から現在の住宅ローン、自動車ローン、クレジットカード全盛時代まで、この流れは一貫しているように思える。つまりは、信頼してよい相手との「リンク」は現代の世界において拡大し続けているわけだ。そして、それは中国政府が米国の巨大ファンドを「金利」をベースにしたファイナンステクノロジーを駆使して買収するにいたって国と国との間でも「信頼」は広がっているわけだ。
モモがするどく指摘するように、我々は時間を目の前の商品のために売り渡しているわけだ。

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モモみたいな人ばっかの世界になれば、逆に金利なんてなくなっちゃうのかもしれない。というか、未来を犠牲にして今を豊かにしているのだと案外みんな気づいていない。というか、その信頼をいまだに「ハラスメント*2」してしまう人や国家がいることが難。

複雑さを生きる―やわらかな制御 (フォーラム共通知をひらく)
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それでも、経済活動においてすら「金利」の大小という形で時間の「質」を評価の対象にしているということに気づいて愕然とした。