HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

述語的な科学

新しい自然学―非線形科学の可能性 (双書 科学/技術のゆくえ)

新しい自然学―非線形科学の可能性 (双書 科学/技術のゆくえ)

蔵本由紀先生によれば、これまで科学、特に物理学は「主語」主体で進んできたという。つまり、落ちる石なら石、天体なら天体、波なら波、といった研究対象を主語として、その述語は付属的なものであったという。

最近の科学では、逆に「述語」が主体になってきたという。いい加減書き連ねてきたネットワーク構造の話はともかく、量子力学から流体力学分子生物学まで、現象面からみれば同じ方程式、同じ述語で表現できるということに力点がおかれてきているのだという。

この背景にあるのが、非線型方程式であり、コンピューターのシミュレーション技術なのだという。

これは、いわばいろいろな現象の根底にある原理というものが、案外共通性をもつということと認識してよいのだろうか?以前触れたM.ポラニーの「創発」ということもそうだ。