HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

書評 技術経営入門 改訂版

自分の会社の技術開発
「領域」を決めることは、自分の会社のあり方をきめること
「個々人の過去の成功体験が新しい発想を阻害している」


そんな中で、あえて自分の立場を明らかにしようとすれば、私の会社の会社案内に載せてある言葉を開陳するのが手っ取り早いかもしれない。

「創意工夫を積み重ねよりよい明日を築きます」。我が社には研究室こそありませんが、全員で日々の仕事を通じ独自商品の開発に取り組んでおります。
ごまめのはぎしりかもしれないが、中小企業においては、実際の仕事のひとつひとつが、実は技術開発だといえば、技術開発だ。商品開発だといえば、商品開発だ。日々の活動を通して、商品をつくり、技術を積み上げ、その過程を通して人に技術開発を植えつける。このサイクルがまわりだして、はじめて技術開発といえる。

私が従事する建設業は、まさに過去の成功体験にとらわれて、いまここにある脅威に盲目な人間が多い。かくいう私も、この場では多少わかったような口をきいているが、いま向かうべき方向に会社を向かわせているのかどうか、日々自問自答している。確実に、去年通用した方法が、今年は通じない。毎年、毎年、変化してくのでなければ、現状維持すらおぼつかない、という感覚はある。

とはいえ、現実の商売においては、なかなかこれが本当の競争力の源泉だと腑に落ちる経験をすることが少ない。つまりは、なにが自分の会社と他の会社との差別化につながるかが明確にならないまま、日々の活動が行われている。

建設業界全体に、口では技術だ、技術だというのだが、市場にかなった商品開発、技術開発がきちんと行われているのを見たことはない。なにか基本的に他社と差別化のはかれる商品開発を見たことがない。まあ、プロジェクト管理会社だといえなくもないのだが、建設業者からプロジェクトマネジメントに関する技術開発が飛び出したということも聴いたことはない。