HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

ガンダムとヨブ

先日のガンダムスターダストメモリー(星屑)を見た感想を書いてから、ガンダムとは現代のヨブ記ではないかと考えた。

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ユングは「ヨブへの答え」という本を書いている。この中で、旧約から新約、そしてマリアの被昇天に至るキリスト教の歴史を精神史の進化だと捉えていたと私には思える。

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ヨブへの答え

ヨブへの答え

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ガンダム正史のガンダム、Z、からシャアの逆襲に至る物語はまさに人類の精神史的な進化の物語ではないだろうかと。そして、そのひとつの終局が例の緑の光であると。奇跡によって物語は終焉を迎えるのだと。戦い続けることしか知らない人類がそれでも対話を続け、ひとつの高みに到達したのだと。ニュータイプとは預言者そのものであり、シャアが荒野に呼ばわるもの、ヨハネであり、アムロがキリストになるはずだった。いや、逆か。

利根川千葉県サイドが決壊していたらどうなったか?

台風の被害に見舞われた方々に心からお見舞い申し上げたい。亡くなられた方々に、哀悼の意を捧げたい。

千葉県民としては、今回利根川の決壊警報が出た時の驚きが忘れられない。台風がすぎ、利根川の危険が頭をかすめていたとは言え、外出して食事をしていた。19時過ぎにまわり中から警戒音が流れた。もちろん自分の携帯にも。初めて見る利根川氾濫警報レベル4だった。

www3.nhk.or.jp

私も建築関係者だったので、利根川決壊の恐ろしさは自覚していた。私にまずできることは、その恐ろしさを伝えることだと考え、できるかぎりメール、チャット、SNS等を通じて、関係者に浸水被害予想を伝えた。

この時、ソースをきちんと出せななかったので、今日改めてエントリーをあげる。今回のような緊急時はもちろん、住宅を買う時にはきちんとハザードマップ、災害予想を調べたほうがいいと大きな声で行っておきたい。

www.pref.chiba.lg.jp

ちなみに、国土交通省の川の防災情報。現在進行形の災害情報はかなり完備している。

www.river.go.jp

ちなみに、このポータルからリンクされている河川情報における警報が出た頃と15日午前現在の千葉県の利根川の状況。まだまだ水位は高い。

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利根川 1910132200

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利根川 1910150935

当然だが、堤というのは山形をしているので上にいくほど細くなる。13日夜の時点で本当に数パーセント流量が増える、あるいは何かがぶつかっただけでも、決壊していた可能性がある。建築土木関係者としては、国土交通省、千葉県などが利根川の堤の強化を営々と積み重ねてきたことに心から感謝したい。特に東日本大震災以来強化されたと聞く。

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利根川 強化 国土交通省

http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000683937.pdf

9月の台風とは異なり、今回は千葉県よりも他県での被害が大きかった。しかし、いつ同じような状態になっていたかわからない。今後の状況をよくよく見守りたい。

www3.nhk.or.jp

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千葉に生きることを決めた私にとって再び千葉県が安心安全な場所だと多くの方に思ってもらえる仕事をすることは私の使命だなと改めて自覚した。

祝!バナジー&デュフロ、ノーベル賞受賞!

ふと、山形浩生さんのツイートを見た。「貧乏人の経済学」が売れたのかなくらいに想ってみていた。

いやいや、「ノーベル経済学賞*1を「貧乏人の経済学」の共著者お二人共が受賞という話しだった。

本書が素晴らしいのは紋切り型の経済学ではなく、科学的思考=ランダム化試行をベースにしているところ。

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更に「貧乏人」(援助を必要とする困窮する人々)には貧乏人なりの論理、合理性があるということの指摘。これが日々の生活に困らない側に立つと見えていないことが本書を読むとよく分かる。

  • 飢えている人でもカロリーよりおいしいものやテレビを優先する
  • 就学率が上がらないのは、学校がないからでない。むしろ子ども自身や親が学校に行きたがらない/行かせたがらないから
  • 途上国に多い作りかけの家は、実は貯蓄手段
  • 制服がある女子校と、その生徒の初性交の年齢に相関があるわけ
  • 貧乏人が貯蓄をしないのは、貯蓄を「安心して」「半強制的に」できるシステムがないから(自制心のなさは、貧困国、富裕国似たり寄ったり)
「貧乏人の経済学」はスゴ本

これらの知見は途上国援助だけでなく、日本国内においても応用可能であろう。先に経済学保守本流の知見によって政策を組み立てるのではなく、ランダム化試行による政策の決定は貧困問題、労働問題、教育問題など広く応用可能だと経済素人の私の床屋談義にすぎないが信じる。この意味で「特区」制度は壮大なランダム化試行であったのだが、国会の低レベルな議論によって矮小化されてしまったことが実に残念。

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貧乏人の経済学

山形浩生さんの不労所得に少しでも貢献できるようにAmazonへのリンクを張っておく。

貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える

貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える

台風謹慎の間にガンダム・スターダストメモリーを観た ネタバレ版

本当にネットフリックス便利。ガンダムとキーワードを入れただけでいくつも作品が出てくる。私は少年時代の学校の関係で初回テレビ版のガンダムまではテレビにかじりついて観ていたものの、それからずっとガンダムシリーズと離れていた。断片的に「Z」の映画三部作、ユニコーンガンダム(以下UC)、「シャアの逆襲」(以下逆襲)を観ていたが、「正史」*1としてこれらの作品が気持ちの上でどうしてもつながらなかった。特に「逆襲のシャア」がとても唐突に感じられていた。それがスターダストメモリー(以下星屑という)を観てようやくつながった。

www.netflix.com

とにかく台風で外に出れないので、朝から晩まで星屑を観た。結論から言えばガンダムの「正史」とは「日本がアメリカを赦す日」なのだと気づいた。

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昭和40年代生まれでテレビでガンダムにつながるSFチックなアニメが勃興したのは「ガッチャマン」だったと記憶する。「ガッチャマン」が昭和47年、「宇宙戦艦ヤマト」が昭和49年、そして「ガンダム」が昭和54年。精神的にも、興行的にも、社会的にもつながりがある。そして、ガッチャマンの前にタツノコプロが作成したのが太平洋戦争を反省する立場から描かれた「決断」だ。この三作には直接間接、太平洋戦争の戦後日本の精神史が背景にある。昭和40年代はまだ多くの日本人は国民全員参加で戦った太平洋戦争の敗戦の衝撃をどう精神的に受け止めるべきか根底で悩んでいた。

アニメンタリー 決断』(アニメンタリー けつだん)は、太平洋戦争を題材にした竜の子プロダクション制作のテレビアニメである。1971年4月3日から同年9月25日までの間、毎週土曜日19時30分 - 20時に日本テレビ系で全26回放映された[1]。

アニメンタリー 決断 - Wikipedia

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宇宙戦艦ヤマトにも太平洋戦争の敗戦へのやるかたなき松本零士や、西崎義展ら関係者の想いが込められている。敗れた戦いを海の底から決戦兵器、戦艦大和がよみがえって戦局を覆し、勝利をもたらす物語なのだから。

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私の中ではガンダムは初めて、敗戦のコンプレックスから解放された戦争と向き合う映画だと想っていた。ファーストのオープニングが「コロニー落とし」から始まるのもまさにこのアニメは「原爆=敗戦」の後から始める物語であることを繰り返し語っているように想える。しかし、星屑を見て逆襲のシャアを見て、まだファーストでは敗戦の衝撃を完全に受け止められていなかったのだと理解した。

様々な意見があるだろうが、個人的にはファースト=1年戦争、星屑=テラーズ紛争、Z=グリプス戦役、ZZ=第一次ネオ・ジオン抗争(未見)、逆襲のシャア=第二次ネオ・ジオン抗争と正史が連なっている。「コロニー落とし」とその類型が大量殺戮兵器=原爆なのだとすれば、ファーストが原爆以降の戦争を描いているのにも関わらず、星屑ではコロニー落としが決行される。Zにおいては三つ巴の混戦の中、アクシズ落とし、コロニーレーザーが炸裂する。ここまでの悶々たる「敗戦」の反芻の最後に、逆襲において初めてZでは完全には決行されなかったアクシズ落とし=大量殺戮兵器が完全に阻止される。シャアとアムロというガンダムシリーズを彩る主要登場人物の犠牲によってだった。星屑を見て、ああ、このシリーズは大量殺戮兵器を阻止するところに敗戦を受け止め兼ねてきた日本人の意識の変化を示しているのだと理解した。

ガンダムの中で、これは旧日本軍のオマージュなんだなと想ったのは連邦軍内部でのしごきだ。平気で人を殴る、暴言を吐くなどは昭和40年代の戦中、戦後まもなくの人たちが社会の主要な役職を占めていた日本では日常茶飯事だった。宇宙にあがっても、日本軍そのものの体質が連邦軍に受け継がれいるなとは以前から想っていた。そもそも制服からして倒錯があるのは、連邦側が米軍の軍服であり、ジオン側がドイツ軍服のところだ。星屑が描いているのは、ヤマトが描いたような負けた戦争を覆すカタルシスではなく、誰もがベストのベストを尽くし、独創的な新兵器と最強のエースパイロットがいても、負けるものは負けるのだという戦後の冷静な認識だ。物流ではガンダム1号機の核攻撃で3分の2を失っても、連邦軍が圧倒的な戦力をもっているのに、コロニーは落ちてしまったのだ。更に、昭和の終わり頃の精神的なもやもやを抱えたままのバブル期という奇妙な高揚感と閉塞感が、Zが描く世界があった。繰り返すが、この変遷があって初めて逆襲が戦いの果てに得られるはずであった正統性コンプレックスの裏返しとしての「赦し」が理解できる。

ちょっとまとまらない文章になってしまった。改めてトライしたい。まあ、21世紀もまもなく中盤に達しようといういま、まだこんなことを書いている自分自身が敗戦コンプレックスから一歩も抜け出れていないのだと。富野由悠季監督はもうとうに卒業しているのだろうな。

*1:ちなみに、少し前に初めてF91も観ていた。

消費税還元ポイントの事務遅れ その2

今回の消費増税ほどシステムレベルでの混乱が取り沙汰される国家主導の事業のインプリメントは少ないのではないだろうか?たった9ヶ月しか実施時期がないのにインプリメントの初動でこれだけ混乱してしまうと初期の目標達成が厳しくなる。いろいろ見てみて、これは、お役所側がフロントサイドに立とうとし、「決済事業者」と呼ばれるQRコードペイ、クレジットカードなどの民間がサーバーサイドに近い立ち位置にさせられたことがインプリメントの段階の最大の間違いではないだろうか?とはいえ、キャッシュレス推進、中小企業等の補助という制度設計レベルでは決して間違っていない。主張だけしておけば、この制度は延長すべきだ。補助率を落としても中長期的に続けるべきだと言いたい。

以下、混乱の状況を見ていきたい。まずは、店舗側のシステム混乱から。これは民間側のテスト期間の短さからくる混乱であった。

piyolog.hatenadiary.jp

blog.livedoor.jp

次に、「還元ポイント」の登録、開始について。以前、「事務遅れ」と書いたがもう「大混乱」モードに移行しつつあるように思える。

hpo.hatenablog.com

経済産業省の還元ポイント受付システムの仕様の決定が遅れにおくれ、サイトで「9月6日までに受け付ければ10月1日に間に合います」という言葉は「真っ赤な嘘」になっている。聞いた話だが数万件の申請に対して10月1日に間に合ったのは、半分に満たなかったと聞いた。私の身の回りでも十分に余裕をもって9月6日以前に申請したのに、遅れに遅れて11月以降になると言われている店舗、中小起業を見聞きしている。

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http://mikyo-ya.hatenablog.com/entry/2019/10/02/105343

申し訳ありません - 北品川にある和風居酒屋【三叶家】雑記ブログ

先に書いたように、cashless.go.jp、後述するスマフォアプリなどフロント側にお役所が立ってしまっているのが混乱に輪をかけている。お役所が本来得意な個々の申請の是々非々を受けつる、還元ポイント申請に必要な事業者コード、店舗コードの発行を事業者任せにしたのがそもそもの敗因であったように思える。個々の店舗などからウェブシステムを開発し、経産省で受け付けを半年以上前から実施すべきであった。現在進行形で起こっているのは、ID等の登録を決済事業者のシステムから経産省のシステムに「転送」する際に「不備」と呼ばれる読み込みエラーが続出している。この原因は、経産省側の仕様決定の大幅な遅れによると聞く。ほんのちょっとした記述のゆれを許容できないなど、カード事業者と官庁のシステムとのすりあわせ、事前テストが全く行われないままスタートしてしまったかららしい。事業者コードをどこかの決済事業者への申請で取得してから、他の決済事業者の申請につかるのでは時間が掛かるのは当たり前。逆に、お役所側が個々のコードを決定しさえしてれば、逆にあとは民間の決済事業者がなんとか帳尻を合わせただろう。

更に、各決済業者の間の混乱もある。まず、A事業者、B事業者と言われてなにが違うのかわかるひとがいるだろうか?しかし、この業者の区別により申請が更に複雑になった。

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決済事業者

https://cashless.go.jp/assets/doc/operator_leaf1902.pdf

更に更に、還元ポイントの還元方法があまりに基準がないため、各決済業者によって手続きしないと還元されない決済方法や、還元まで異常に時間が掛かるカードなどがでている模様。

www.traveler-da1.com

コンビニのいさぎよさを見習うべき。

経産省のスマフォアプリの使い勝手の悪さはもう有名。

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台風19号への備え

進路がそれることを願ってやまない。

とにもかくにも準備。まずは身の回りから。ある方から教えていただいた、tenki.jpのサイトがまとまっている。

tenki.jp

私の視点から。できれば、もっと詳しい方に教えて欲しい。

  • 食料の確保 = ローリング保存法:保存のきく普通の食品を大目に購入しておく。台風来なかったら定期的に普通に食べると。飲料水もローリング保存。
  • 蓄電池 = 大仰なものではなくマキタのバッテリーのUSB接続アダプターがおすすめ。USB接続できて、ライトまでついてる。まあ、マキタファンなので大容量電池がたくさんあるからなのだが。応用性、お手軽さ、大容量から言えば、マキタの電池は私のイチオシ。

  • 熱源 = 手軽なのはカセットコンロ = 熱源の確保としてポータブルなものが便利。私は試していないが、カセットガスで電気が発電できる装置もある。

ホンダ(Honda)発電機 エネポ EU9iGB 900VA

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  • 移動手段の確保 = 車がある人は満タンにして、安全な場所に置く。正直、前回の台風で自分の不注意で車を傷つけてしまった。反省、
  • 建物等の弱いところの補強 = 心配なのは前回の台風で一次対応してブルーシートが貼ってるところなど。土嚢とロープで補強するなどが考えられる。
  • 建物等の弱いところの解体 = 風で飛ばされる前に自分で解体してしまう、倒木の恐れのある木は切り倒してしまっておくのも一案。
  • ハザードマップの確認 = 各市町村で必ず作っている。事前に入手し、必要なら印刷しておくことが大切。

べき分布トークで言えば、千葉県は前回の台風で倒木の恐れのある部分は相当数倒れてしまっているので、今回の停電は前回ほどにはならないだろうと予想はしている。それでも、また別なリスクはあるので十分に注意したい。ちなみに、すでにイベントの中止、延期が多くなっている。


■中長期的には

家庭用の蓄電池は割とおすすめ。でも、10年経っても電気自動車との連携ができる蓄電池システムなどが一般化しないのはなぜだろうか?

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台風被害で言えば太陽光は割と危険度が高いので設置場所はよくよく検討する必要があるが、停電となれば1500Wの非常用電気供給のある太陽光発電は心強いだろう。

ガスは割と台風等の被害には強いので停電時でも発電できる給湯器、エネファームも大切。ただし、パナソニック製のものでないと停電したからの発電はできないと聞く。

www.saibugas.co.jp

しつこいようだが、飛散の可能性がある構築物等は解体すべき。正直、被災地を見てきて方の話しによると築30年未満の建物の損壊の比率はすくなったらしい。多くの災害の反省から建築基準法、屋根の工法等も進化している。コンパクトシティに結びつきかねないので100%賛成はしかねるがある程度の街の集約は必要なのかもしれない。とはいえ、今回の台風がきっかけで集落に誰も済まなくなるといった事態が恐れられていて、非常に悲しい。

生涯雇用が賃金を安く抑えている

あまりに当たり前のことに気づいた。

私は長年人事関係に仕事にも関わってきた。一時は上場企業の人事関係の仕事もしていた。バブル絶好調だった当時、業界のリーダーと言われたある会社の人事担当の論文に「激しい競争と選抜に残って我が社に入社した優秀な社員に40才頃まで処遇で差をつけることはモラール(士気)の低下をもたらすだけだ」と書いてあった。この会社では、昇進、給与に40才、課長職程度まで差をつけないことを自慢していた。バブル後の紆余曲折はあっても立派に盛業を続けていらっしゃる会社なので、根本的な間違いとは言えない。

一方、中小企業で人事の仕事をしていると避けられないのが中途採用者の処遇だ。中小企業の中では新卒採用から育成していく率が高い方ではあっても、様々な理由による退職であいた「穴」を補充するために中途採用は欠かせない。私の経験からすると大概の場合、新卒で育てた社員と同等の採用をするには、少なくとも1割、2割高い年収を提示しないとならない。会社年齢と年収のグラフを何度か作っていて賃金カーブを確認しているのだが、やはり時々飛び抜けた社員がいるので誰だったか確かめると中途採用者だ。

結論から言えば、特に大手企業で雇用の流動性があまりに欠けているため、景気が良くなっても会社にフリーキャッシュフローが貯まるばかりで、社員に還元されない。以前、「信長の野望」というゲームをやっていて戦いに勝っても、稼いでも、領内で反乱が頻発し、処遇をよくすることで確率を下げざるを得ないという事実に気づいた。中小企業の人事処遇は「信長の野望」と同じで雇用流動性がそこそこ高いし、社員の会社に対する士気があがらない会社が多いため稼いだフリーキャッシュを得てして社員の処遇に使わざるを得ない。*1

ウェブ界隈では「社畜*2とか言われるが要は生涯雇用の神話の裏返しに過ぎない。米国でも当然自分の会社への忠誠心は求められるだろう。しかし、「いやならやめればいい」となるし、会社側も「仕事に身が入らないほどいやなら、やめさせてしまえ」となる。そして、雇用の流動性が高まれば前述の通り雇用される能力のある人は会社が払える限り高い賃金を要求する交渉力を持つことになるし、解雇されても流動性が高く別の会社で同様の仕事の空きがあることが分かっていれば不安にはならない。"between jobs"という言い方を米国人はよくするがなんの不安も持っていないらしい。

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なかなか実際の数字を示すことはいまの段階では難しいがもう少し実証的な数字を押さえていきたい。そうそう、アトキンソン氏のこの話しはかなり事実と異なる部分がある。要は大企業の生涯雇用というゆがみのクッションとして中小企業が存在するのだという主張をそのうちしたい。

toyokeizai.net

*1:曲がりなりにも盛和塾で勉強させていたいだいてる身としては、書き方が難しいが逆にだからこそ、「全従業員の物心両面の幸福追求」をド真剣に行動すべきなのだということは言うまでもない。

*2:「家畜」がlive stockであるなら「社畜」はcoporate stockか。英語だとあまり迫力ある言葉にならない。coporate slaveとか訳しちゃうんだろうな。