HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

横田南嶺老師

タイトルに「先輩」と書きたかったのだが、さすがにあまりに不敬なのでやめた。横田老師の文章を「致知」で拝読した。確か「古典」の特集号であったと記憶する。
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ご丁寧な文章に改めて尊敬の念を新たにした。若くして円覚寺の管長に就かれ、そして近年は花園大学の総長を務められていらっしゃると聞く。

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このような近年まれにみる素晴らしい方が大学の先輩であることを誇りに思う。学校を誇りに思うようではもう若くない印かとは思うが筑波大学で教育を受けられたこと、素晴らしい人材であられる先輩方、同級生、そして、後輩たちに恵まれていることに心から感謝したい。

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人事という閾値との戦い

世の中が新入社員で湧いている時期に論じるべき問題ではないかもしれない。人事畑の経験は気がつくと長いため、この方のおっしゃっている「定期異動」がどんなものかよくわかる。

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ほとんどの企業において、かなり均一に優秀な社員が採用できているため、当初10年あまりは差がつかない。いや、差をつけない。なおかつ、異動、業績考課、昇進、ほぼすべてに渡って、平均近くで半分で判断するか、上から2割、つまりは平均から1σ程度のところで切ろうとする。そんなところに閾値を設けて人が人を判断できるわけはない。人が人を判断する時のバイアスはどれだけ種類が多く、どれだけ強いかは言うまでもない。

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正規分布の分かりやすいまとめ | 全人類がわかる統計学

ちなみに1σはほぼ偏差値60。偏差値受験の呪いとも言える閾値の設定の仕方だ。「平均よりは上、そこそこ勉強はできるが超難関校は受かるわけがない」、というクラスだ。

これから上位3%、2σであれば案外判断できる。業績考課のSクラス。ここのクラスを特進させる、あるいは特別な地位につけるとほかの80%なり、97%の同期がやるきを失うというのが、保守的な業績考課、大量の定期異動の根拠だ。誰かを特別扱いさせない、もしくは多少特別なことがあっても大量に動けば目立たないという人事の姑息な心理がいまだに横行している。

実力主義人事が一度もてはやされたが、導入した企業はほとんど衰退している。同一賃金、同一労働、あるいは雇用者側も、従業員側も、ドライな人事ができなかったためだ。

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じゃあ、お前はどっちを採用して人事を運用しているのかと聞かれれば、中小零細に身を置く私としては超保守的で業績考課、異動、昇進において誰も意欲を失わない方針で運用している。それが日本の現在にあっているからだ。

しかし、最近の若者たちを見ると、日本も真剣に米国型の人事制度に移行しないと企業活動ができなくなるように思えてならない。

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令、淑、和、鏡、珮

新しい元号が発表されたこと、誠に喜ばしい。しかも、万葉集から取られたということは歴史始まって以来だと。素人ながら、原典である序文の現代語訳にチャレンジしたくなった。

漢字を片端から調べた。

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調べて見て、女性をたたえる言葉が多く盛り込まれている。

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背景を知ると良い元号であるという気がしてくる。

時は初春の令月(※すなわち、何事をするにも良き月、めでたい月)[16]、空気は美しく(※『初春』の『令月』を受けての解釈では、瑞祥の気配に満ち)、風は和やかで、梅は鏡の前の美人が白粉で装うように花咲き、蘭は身を飾る衣に纏う香のように薫らせる。

[ 令和 - Wikipedia]

うーん、かなり訓み下せてないのがバレバレ。まあ、でも、女性に例えていることは間違いではなかった。

漢字は捨ててはならない文化

ベトナム人と少し話をした。私の発音はまだまだでなかなか通じない。書けばなんとか通じるレベル。

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聴いてびっくり漢字の世界―日中韓越の漢字音はこんなに似ている

聴いてびっくり漢字の世界―日中韓越の漢字音はこんなに似ている

前に書いたようにベトナム語と日本語は、多くの語彙を漢語に依っている。しかし、彼らに"chuyên môn"が「専門」で、既婚女子への尊称"bà"が「婆」だと言っても通じない。20代の彼らにとって、漢字の文化はもうとうに忘却の彼方であるらしい。中国、朝鮮、ベトナム、日本の地理的条件を書いて、それぞれに漢字の文化が伝わったと図示しても、わからない。考えてみれば、何らかの形で漢字が伝わった日本、朝鮮、ベトナムで漢字が残っているのは日本だけだ。朝鮮はハングルという日本で言えばひらがなだけの文字になり、ベトナムはアルファベットになった。不可逆な過程であり、もうそれぞれの国が漢字文化に戻ることは二度とないであろう。そもそも、本家本元の中国ですら簡体字になってしまっている。もともとの数千年前からの漢字を残しているのは台湾だけとなってしまったとも言える。

日本においてさえ、漢語を生み出す力は失われ、多くの外来語をカタカナという中途半端な表記で表すしかなくなっている。外国人の日本語学習者にとってカタカナ言葉が一番の学習の障害になっていると聞いたときは内心のけぞった。

IT技術が進み、キーボード、音声入力が進んだ今日においては逆に漢字を旧字体に戻すくらいの文化を守る努力が必要ではないだろうか?あるいは、漢語、漢文をもっともっと読ませる努力が必須ではないだろうか?教育界や、さまざまなところから反対に合うだろうが。

はてな15年の蓄積

最近、社内で働き方改革の話しをする時に、このはてなダイアリーはてなブログで書き溜めたノウハウを使うことが多くなった。まあ、まずはネットワークとコミュニケーション論。コミュニケーションが必要なノードの数の自乗にコミュニケーション量は比例するという話し。よって強力なリーダーシップを導入するか、全体としてひとつの合意、ひとつのモデルで働くことが必要となるという話。

ピクサーピッチ」も私のお気に入り。

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心理的安定性の問題もよく話す。

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その他、数えたらきりがない。なんでも続けるとよいことはあるのだとしみじみ。にしても、最近エントリーをあげる精神的余裕にかけるのが自分の問題意識。書きたいことはあるのだけど、それを文章にするだけの精神的余裕にかけるようだ。

ウルマンの間違い

ウルマンの「青春」の詩はあまりに有名だ。

青春とは臆病さを退ける勇気
やすきにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する。

しかし、ウルマンの時代は60代を超えて活発な人間がそれほどいることは想像していなかったに違いない。この詩をモットーに七十、八十になっても組織のトップに君臨し、蛮勇をふるう人物に多く目に掛かることが多くなった。本当に青春、冒険心というのなら、組織のトップに君臨しつづけるのではなく、既存の組織は別の人間にゆずり自分は新たな領域に冒険に乗り出すことが必須ではないだろうか?

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もっと言えば、残念なことに学習能力を年を取るにつれてどんどん失っていく人物が多い。心理学的な研究からは、高齢化とは能力の減退以前に意思の減退だと示されている。身近な20代の組織のトップをみると本当に柔軟だ。常に学習する意欲と余地に溢れている。

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ライフシフト」のはらむ問題は年を取った時、自分が既存のキャリアを退いた後でも学習能力を維持できるか否かにかかっていると私には想える。そして、学習能力維持可能性の反証はあまりに多いと。

高齢者以外の場合の学習能力維持について書きたいことがあるが、別の機会にしたい。

「お父さんは発達障害ですか?」

子供たちと話をしていて、珍しく自分語りをしてしまった。例えばと、話したのは昔から不思議でならないのは、大学に行ったことを当たり前だと言いながら、大学でなにを勉強したのか全く覚えていない人たちがいることだと。私は、30年以上経っても主要な授業について何をどの学年で勉強したか話しができると想う。同様にしてMBAの授業。現在の仕事に当時の授業の内容の多くがつながっていることを実感できる。しかし、あまり人から褒められたり、認められたりした経験が薄い。なんというか、感情面で未発達な面があるのは自覚しているのでその一番できていない部分で自分を評価しているので、自分がやってきたことで自分を評価することはほとんどない。そんな話しをしたらタイトルの「お父さんはいまでいう◯◯◯◯(よく聞き取れなかった)という発達障害ですか?診断とか受けたことがありますか?」と子供に言われてしまった。ちょっとびっくり。

私個人としては、発達障害というからには発達の段階があってどこで踏み外したのかは最低でも明確にしろと主張している方なので、今度採用で使っているテストを自分で受けてみようかと想う。

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ある研修で話したのだが、いま身についていないスキル、特性を身につけるのは自分が子供になったつもりで発達段階のはしごを何段かおりて向き合うのが大事だと思っている。私も大人ぶるより、一旦子供に戻って自分が踏み外してしまったはしごの段はどこか見直してみるべきかもしれない。自分の生きづらさを子供から指摘される日が来るとは全く思っていなかった。