HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

消費税の軽減税率には95%ルールを適用外とすべき

先日から、反対している軽減税率の導入時の仕入れ、販売の消費税の扱いについて、軽く書いてあった。

消費税の軽減税率は税率を10%に引き上げる再来年4月に導入し、対象品目は「酒類」と「外食」を除いた「生鮮食品」と「加工食品」のほか、定期購読の契約をした週2回以上発行される「新聞」とし、税率は8%に据え置くとしています。また、事業者の納税額を正確に把握するため、税率や税額を記載する請求書「インボイス」を、軽減税率の適用から4年後となる平成33年度から導入するとしています。

自民税調 来年度の税制改正大綱を取りまとめ NHKニュース

これをもって「それなりのものができた」とは言えない。このことが意味するのは、平成29年から4年間はこれまでどおり、仮受、仮払消費税の差額の申告をすれば済むということになる。なおかつ、95%ルールを軽減税率品目に適用するのはこの4年間では事実上不可能となる。仕入れと販売のひもづけができないから。「軽減税率導入は消費税増税延期への布石か?」だなんてとんでもない。もう財務省の術中だな、これは。

1. 95%ルールとは
 95%ルールとは、課税売上割合が95%以上であれば、課税仕入の税額を全額控除(以下、全額控除という)して消費税額を計算できる仕組みを言います。もともとは、事務負担の軽減のための制度で、多くの事業者がその恩恵を受けています。

軽減税率導入に伴う消費税の事務負担 - HPO機密日誌

逆に言えば、非課税品の売上げが5%を超えれば、個別対応方式で仕入れと販売の紐付けをしてその差額を売上げ毎に申告することが必要だということ。少々うろ覚えだが、しかもこの差額というのは非課税品なのでその事業者の負担となり、損金とされる。全額控除の場合は、企業の損益に消費税は中立であったが、仕入れと販売の消費税のあり方で企業の収益まで変わってしまうことになる。この95%ルールを軽減税率にも準用するのか?個別対応方式を中小の食料品販売店まで適用させるのか?

細部に神宿る。このまま平成29年を迎えたら大混乱になる。かといって、厳しい適用をされれば、中小企業、特に食品関連の会社の倒産が続くだろう。仕入れ、販売の消費税の差額がそのまま損失となるのだから。元々食品会社の収益額は多いとは言えない。とはいえ、中小食品会社は地域が誇る名物を作っているところが多い。ますます、地方がひからびていく方向になってしまう。政府の進める農業の六次産業化にもマイナスとなるだろう。

なんで経済団体がこれを容認すると発言してるのか私には理解できない。

経団連幹部は14日に公明党の会合に出席し、中小への配慮を前提に軽減税率の与党内の議論に従う考えを示した。首相が検討を指示したことで、反対を声高に主張し続ける路線を修正し始めたとみられる。

経団連、軽減税率「与党に従う」 条件付き容認伝達 :日本経済新聞

少なくとも去年までは反対していたのに。

消費税の複数税率導入に反対する意見
(9団体連名)
2014年7月2日
日本経済団体連合会
日本商工会議所
経済同友会
日本百貨店協会
日本チェーンストア協会
日本スーパーマーケット協会
全国商工会連合会
全国中小企業団体中央会
全国商店街振興組合連合会

経団連:消費税の複数税率導入に反対する意見 (2014-07-02)