「反脆弱性」が面白い。苦痛をさけること、他人の金をあてにすること、表面的リスクを避けることこそが、いかに大きなリスクにつながるかが書かれている。
- 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛,千葉敏生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/06/22
- メディア: 単行本
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それは、言うまでもなく「山火事」の話。
そして、次第にその「臆病者の抱えるリスク」の典型的な例が日本だと気づかざるを得ない。実際、こうタレブは書いている。
産業革命のころのイギリスと同じで、アメリカの財産は、ひと言でいえばリスク・テイクとオプシ ョン性の使い方にある。アメリカは、合理的に試行錯誤する驚くべき能力を持っている。失敗し、や り直し、また失敗しても、そんなに恥をかくことはない。それと比べて、現代の日本はどうだろう。 失敗は恥になる。だから、人々は金融や原子力のリスクを被腰の下に隠そうとする。小さな利益のた めに、ダイナマイトの上に座ろうとする。朽ちた英雄、つまり高貴なる敗北に敬意を払ってきた 昔の日本とは、奇妙なくらい対照的だ。
つまりは、日本人は「小さな山火事」を消し続け、「大きな山火事」を自ら招いていることに気づいていないということだ。実に残念だ。