HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

水と奴隷

大変、感銘を受けた。その感性に。そのリベラルアーツへの愛に。

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ぼくの考える、インチキなしのリベラルアーツ教育の目的とは、「いかにして心地よい、豊かで、凛とした社会人生活を送り、ゾンビのように、無意識で、自我および唯一の完全な凄まじい来る日も来る日も訪れる孤独のドレイとなるのを回避するか」を問うことです。

確かにこういった(社会的欲求と達成を自分で追求できるという)自由は大事ですが、自由の定義は他にもあります。欲求と達成にとらわれた社会では無視されてしまう自由です。その中でも特に大事な自由が、まわりに注意を払い、意識的にものを見つめ、自制心を持つことで得られる自由。誰にも見えないところで、毎日毎日、自分以外の人々のことを思い、彼らのために犠牲をはらい生きる自由。

これは話された言葉なので少し回りくどいというか、核心が伝わりづらいのかもしれない。それでも、大学を卒業する学生達に十分に伝わったことを祈りたい気持ちだ。

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私も深く同意したい。

「リベラル・アートってなに?」という話しになった。私は「奴隷にならないための技芸だ」と答えた。「リベラル・アート」の「リベラル」とは、古代ローマの「自由民」だと。「アート」とはラテン語の「artes」だと。複数形なのがみそかな。

奴隷にならないための技芸 - HPO機密日誌

更に本質的な言葉としてハンナ・アーレントを読むべき時期が来ていることを感じる。

「本質的な人間としての特質を失ってなくても奴隷状態にまで落ちることが有り得ることを警告している」

ハンナ・アーレント - HPO機密日誌

魚が水に溺れることはないが、人間は社会の空気に窒息してしまうことがある。ウォレス氏の魂にやすらぎのあらんことを。