HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「進化は万能である」を読み始める

ちょっと順番が逆になってしまった。先日、本屋を数時間立ち読みしてマット・リドレーの「進化は万能である」を買ってきた。出版されていることすら知らなかった。

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本書は、マット・リドレーの集大成的な本。宇宙、生命、人類、文化、言語を縦横無尽に「進化」をキワードに説明していく。「進化」に神はいらないと。いかなる形態、メケニズムであっても超自然的な「意図」はいらないと。この考え方は、高校生の頃に中沢新一の「雪片曲線論」に触れて以来、私も興味を持ってきたテーマ。「雪片曲線論」とは、いま考えればフラクタル曲線のこと。

雪片曲線論 (中公文庫)

雪片曲線論 (中公文庫)

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どれだけナチュラルに、どれだけ複雑に見えても、そこに「意図」はない。内在されたメカニズムの進化があるだけ。

全編のモチーフとしてルクレティウスの詩が引用されている。これがまたすごい。二千数百年も前に原子のレベルから宇宙のメカニズムまで無神論によって貫かれた思想が存在したことに驚愕を覚える。

エピクロス宇宙論を詩の形式で解説。説明の付かない自然現象を見て恐怖を感じ、そこに神々の干渉を見ることから人間の不幸が始まったと論じ、死によってすべては消滅するとの立場から、死後の罰への恐怖から人間を解き放とうとした。6巻7400行からなる六歩格詩『事物の本性について(英語版)』(ラテン語: De rerum natura)を著して唯物論的自然哲学と無神論を説いた。

ルクレティウス - Wikipedia

そういえば、同じ古代ギリシアの哲学にまでさかのぼる「オートバイ修理技術と禅」もまたいつか読み直したい。

禅とオートバイ修理技術〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)

禅とオートバイ修理技術〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)

禅とオートバイ修理技術〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

禅とオートバイ修理技術〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)