HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

評価経済の価値

これはサービス業にかかわるものとして、無視できない問題であると強く感じた。ちょっと古い話ではあるが、現在も状況は変わらない。

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最近、新しいサービスのローンチに関わっているのだが、致命的なほどこうした予約、販売サイト大手の力を感じる。販売しようにも新規サービスだと「評価」がないため販売がすすまない。じゃあ、試供品配って使ってもらってとなるのだが、大手サイトで「評価」を得るにはそのサイトを通して販売するしかない。まあ、これは確かに実際には買っていないのに「評価」してもらっても困るわけで、当然ではあるのだが新規ローンチにはなかなか難しい。

つまりは、上記のサイトに関われている「大手OTAサイトから脱却」という動きも、「評価」の問題が一番大きいと想われる。たとえば、一休ドットコムというサイトがある。大変IT的にも、マーケティング的にもすぐれたサービスだと私は想っている。

www.ikyu.com

このサイトがよいのが、割と格上のホテルを格安で予約できること、なによりこのサービスを利用する方が割と高級ホテルを使い慣れた方が多いので「評価」がかなり参考になる。元々、それなりのホテルしか対象にしていないというのもよい。ウェブでいろいろな選択枝があれば比較するのが、人情なのでこうしたサイトの力は増えこそすれ、減ることはないと考える。

つまりは、あまりに言われ古された結論になるのだが、ユーザーが生成したコンテンツの利用方法で大きなお金を産むサービスとなるということ。これは、実はそのままAIの側の資産の問題となる。

要するに、EU加盟国では著作物を学習したニューラルネットワーク(脳の神経細胞の繋がりと機能のシミュレーションを目指した数学モデルのこと)は著作者の許可を得なければそのまま産業利用することはできませんが、日本では著作権があったとしても、機械学習したニューラルネットワークを産業利用できることになります。ほとんどのデータには著作権があるうえに、故人の著作などは死後50年経過しないと著作権が消滅しないことを考えると、いろいろな目的の人工知能を作るのに日本の法律は諸外国に比べて極めて先駆的であり、日本国内企業は諸外国に比べて極めて有利な状況にあります。

世界レベルの「AIの知財権」議論が始まった。その先進国は日本 —— 統合国際人工知能学会 in メルボルン | BUSINESS INSIDER JAPAN

AIと知的財産

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2016/jisedai_tizai/dai4/siryou2.pdf

ということで、最近流行のメタサーチが更にAI化して、ホテル業界で言えば個々のサイトまで「評価」を収集して、ユーザーが必要とする最適なサービスを推薦するサービスが今後考えられる。スカリー時代のアップルが「ニュートン」の時代に構想したパーソナル・デジタル・アシスタントの「エージェント」の概念かなと。

I said there was going to be a device called the PDA, at least we named it the PDA, that is going to be held in your hand, it will have amazing communications capability, you’ll have an incredibly easy user interface, it will be very powerful, it will be able to manipulate content, and there are going to be billions of them because it’s going to be indispensable.

https://www.macobserver.com/tmo/article/john_sculley_the_full_transcript_part2:tite

Amazon Echo smart speaker running the Alexa virtual assistant
A virtual assistant is a software agent that can perform tasks or services for an individual. Sometimes the term "chatbot" is used to refer to virtual assistants generally or specifically those accessed by online chat (or in some cases online chat programs that are for entertainment and not useful purposes).

Virtual assistant (artificial intelligence) - Wikipedia

適切な資料が見つからないが、Wall Street JournalだかでPDAに内蔵された「エージェント」が外部のネットワークに飛んでいって、それぞれのアプリケーションと通信して、スケジュール管理や、旅行プランの生成を行うという記事を1995年当たりに読んだ記憶がある。当時の技術、ネットワークの中では実際には実用レベルではなかったが、今後AIがPDAに内蔵されていく未来を考えると、メタサーチを超えた個人側での選考が可能なサービスの実用化は考えられるかも知れない。AIがどう評価経済に影響を与えるかは今後よく考えたい。