HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「五箇条の誓文で解く日本史」を読み始める

本屋が楽しい。ついつい行くたびに本を買い込んでしまう。そんな中でついつい積読になってしまう本もあるのだが、本書は一気に読んでしまいそう。

「五箇条の御誓文」によって明治から平成の終わりの今までを読み解こうとする。

一,広ク会議ヲ興シ,万機公論ニ決スヘシ。 ①
一,上下心ヲ一ニシテ,盛ニ経綸ヲ行フヘシ。 ②
一,官武一途庶民ニ至ル迄,各其志ヲ遂ケ,人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス。 ③
一,旧来ノ陋習ヲ破リ,天地ノ公道ニ基クヘシ。 ④
一,知識ヲ世界ニ求メ,大ニ皇基ヲ振起スヘシ。 ⑤

五箇条の御誓文(ごかじょうのごせいもん)とは - コトバンク

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「五箇条の御誓文」が明治維新以来の日本の形をつくってきたという認識は広く存在する。本書にも書かれているが、「五箇条」は明治憲法にはるかに先んじて慶応4年(1868年)に発布されているし、戦後も日本国憲法に先んじて出されたいわゆる昭和天皇の「人間宣言」にも引かれている。日本の現代史に欠くべからざる言葉だ。私などはこれをもって日本国憲法とは英国憲法のように長い歴史の中ですでに形作られている不文憲法だと主張したいくらい。

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本書によれば、五箇条と現代日本の原則は一致している。

① デモクラシー
② 経済発展・殖産興業
③ 自由主義、国の発展と個人の立身出世の一致
④ 天皇制、国体護持
⑤ 和魂洋才、グローバリズム

明治の人には相当に「五箇条」というのはインパクトがあったのだと思う。明治生まれの曽祖父が書いた私のうちの家訓も五箇条だった。先日、ある教育学者の文章を読んでいてその大部の著作の原理原則は五箇条だと書いてらしたことを再発見した。あ、そういえばうちの会社の社是も五箇条だ。

「五箇条のご誓文」に水戸学という将軍家を超える日本の正統性、尊皇攘夷の影響を著者は見ている。この五つの要素のどれが重視されたかで、日本の歴史が暗転していくのだと。特に、大正から昭和にかけての政治的な変遷には、この五箇条の御誓文に秘められた尊皇攘夷思想が影響しているのだと。

とにも書くにも、読了してから再度感想をまとめる。片山杜秀氏の本はどれも面白い。

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*1:丸数字は本ブログ