HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

一対一対応の原則

企業経営においてモノ、カネの動きと伝票が一対一で対応しなければならないことは当たり前のこと。しかし、この原則を稲盛塾長は強く徹底することを主張されている。

一対一対応の原則
会社経営においては、必ずモノとお金が動く。その時、モノまたはお金と伝票が、必ず一対一の対応を保たなければならない。この原則を「一対一対応の原則」と呼んでいる。この原則を徹底することによって、毎日の伝票の数字の積み上げが、そのまま会社全体の実際の姿を映し出す数字になる。

京セラ会計学 7つの基本原則 | 稲盛和夫 OFFICIAL SITE

先日のCDの中でもこのお話しを強く主張されている。そして、商社や、大企業などでは平気でこの原則が守られていないことも指摘されている。

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例えば、東芝の「チャレンジ」事件はこの一対一対応の原則が貫かれていたら起こっていなかった。

「あの部署は大幅赤字になりそうなんだよね。だから、君たちのところで彼らの利益も出してくれない?」

 大手メーカーの東芝が起こした不正会計騒動。リーマンショックが発生した2008年から2014年まで、合計で約2000億円を超える利益の水増しを行っていたという問題だ。

 これらの原因となったのが、「チャレンジ」と呼ばれる経営陣の無茶な要求。各部署に、短期間ではおおよそ達成不可能な利益目標を示し、圧力をかけた。なかには、3日で120億円の利益を出すよう求めたこともあるという。その結果、“水増し”という不正行為が蔓延していったのだった。

聞き取り調査で続々判明!「チャレンジ強要職場」の悲惨な実態 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

最初はごく小さな「チャレンジ」目標設定であったのかもしれない。しかし、次第に「チャレンジ」を繰り返していく中で原理原則を踏み越えていってしまったのだろう。

たぶん、「これくらいはいいだろう」とフィージビリティが不足していても、被買収企業の先行きが不安であっても、企業買収をして成功した事例が東芝、郵政の中心的な人物にあったのではないだろうか?石原完爾と同じ構造だ。石原完爾はまだ、他に対して抑制する言動をその後していたが、東芝内部にはそれすらないのだろう。

「これくらいはいいだろう」が原理原則を滅ぼす - HPO機密日誌

こんな会計学の初心者でもわかる原則を曲げてしまうことが恐ろしい。経理関係者からすれば、昨年頻発した検査や、品質表示の問題もつまるところは会計原則に則っていない仕事の仕方が産んだのだと思うことであろう。アルカポネも殺人や、酒の密売といった重大犯罪ではなく脱税で逮捕されたことを忘れてはならない。