HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「歴史的建築物と建築基準法」

いま流行りの古民家の活用の話しを脇で聞く機会があった。どれだけ魅力的な建物であり、うまく活用すればすばらしい施設に生まれ変わるとはわかっていても、法的な整合性はかなり問題があるように思えた。まず、多くの人が「だってちゃんと建っているんだから使えるだろう」と思っているのが、建築的にはすでに間違い。

既存不適格(きそんふてきかく)は、建築時には適法に建てられた建築物であって、その後、法令の改正や都市計画変更等によって現行法に対して不適格な部分が生じた建築物のことをいう。
建築基準法は原則として着工時の法律に適合することを要求しているため、着工後に法令の改正など、新たな規制ができた際に生じるものである。そのまま使用していてもただちに違法というわけではないが、増築や建替え等を行う際には、法令に適合するよう建築しなければならない(原則)。
当初から法令に違反して建築された違法建築や欠陥住宅とは区別する必要がある。

既存不適格 - Wikipedia

「古民家」というからには「民家」、人の住む居住目的の建物として建てられている。これを宿泊施設や、飲食施設にするには「用途変更」という建築基準法に基づく建築確認のいわば「取り直し」をしなければならない。住居から「特殊建築物」への変更というやつだ。

用途変更の前に確認申請が必要となるのは、変更後の用途(全部または一部)が「類似用途ではない特殊建築物」であり、その用途に供する部分の床面積が100平方メートルを超える場合だ。それに満たない床面積の用途変更は、特殊建築物の場合であっても不要となる。特殊建築物の種類については「建築基準法別表第1(い)欄」に掲げられているが、一般的には専用住宅、長屋、事務所以外の建築物と考えておけばよいだろう。共同住宅(マンションなど)も特殊建築物に含まれることは理解しておきたい。

https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00412/

私の肌感覚的には、案外平屋の古い建築物は耐震性はなんとかなっている。消防関係は人の命にも関わるので結構必須となる。まあ、100㎡、30坪以内の建物利用とすればこれもクリアできるのだろうか。

国土交通省は昨今の観光産業育成流行りの中、見解を示している。基本的には地方自治体が古民家活用について条例を定めれば緩和、適用除外が受けられるらしい。

歴史的建築物と建築基準法について 国土交通省 住宅局 建築指導課

事例がわかりやすい。

歴史的建築物と建築基準法について 事例1
歴史的建築物と建築基準法について 事例2

日本の歴史的な建築物という遺産を守り、これからの成長産業、観光が地方で育成されるために、こうした柔軟で有効な法律の適用な期待される。