HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

はてなブックマークの栄光と衰退のリスク

結局、はてなブックマークというid:naoya氏が十数年前に作ったサービスがなぜこれまで生きながらえてきたかと言えば、使用者、消費者側がうまく情報をフィルターする仕組みがあったから。人間の時間と能力は有限で、ウェブの世界は無限といっていい状況なので、ここから必要な情報を取るには検索だけでは足りない。おそらくは、コミュニティを作るのに何度も失敗しているGoogle様からみればうらやましい限りの情報をフィルターしてくれる人材がはてな界隈には昔から揃っていた。「はてな」という名前は元々、「人力検索はてな」から始まっている。ここに「はてなダイアリー」という先駆的な人力で情報を書き加えるウェブログ機能と、それを高度な人材がフィルターし、紹介してくれる「はてなブックマーク」の二本柱ではてな界隈ははぐくまれてきた。そして、サービスとして洗練されてきた。もともとの「人力検索」自体は他のサービスに追い越される事態を迎えてしまったが、ダイアリーも、ブックマークも、「人力」であることに間違いない。つまりは、はてな社の最大の資産ははてな界隈のコミュニティ、人材なのだ。id:jkondoは、よくこのことを理解していらっしゃったと想うのだが、すでにここにはいない。非常に残念。

そして、ここにきてはてなのライバルとおぼしきサービスがいくつも始まっている。

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日本経済新聞のようなおかたい情報サービスで、はてなブックマークボタンは燦然と輝いていたがもはやその姿を見ることはない。遅かれ早かれ、COMEMOはスマフォのアプリ化されるであろうし、日経BP各社の情報提供サイトにもボタンがつくであろう。経済、技術系の人材の情報収集に使われる有能の時間と能力が、はてな界隈からごっそりぬけかねない事態だと憂慮している。

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多くの人にははるか以前から明白な動きであったのだとは想うが、Twitter社も人の能力と時間が有限であることに気づき、情報をただながすだけでなく、人力的なフィルターと、AI的な情報選択を意図的に強化している。私にとってTwitterのネイティブのサービスはここのところ、はるかに使いやすいサービスとなった。

私はどれも気に入らないので使っていないが、スマフォアプリ各社のサービスもはてなのサービスの競合となる。まあ、こちらは逆に情報収集能力格差、ディバイドな感じで人材の逆フィルターになっているだろう。

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そして、更にはてな界隈の人材、コミュニティの変質は覆い隠せないほどになってきている。若い人材が入ってきていることは歓迎すべきではあるが、前述のようにTwitterのような広い人材、コミュニティの世界から言えば、はてな界隈は最近はるかに偏っている。本来情報技術系のプログラミング思考を身につけて論理的な思考と、自分なりの哲学をもった方々のコミュニティであったはずが、基盤が失われているように危惧している。これは統計をとったわけではないの、私の感覚にすぎない。それこそ、人力検索はてなでアンケートを取り調べようかとも考えたが、すでにそれだけの時間と気力は私にはない。

結論があるわけではないが、もし私がはてなの経営社であれば、過去の多くのフォロワーを持つレジェンドとも言えるはてなユーザーのブックマーク、ダイアリー、ブログをAIに学習させて、id:finalventさん風情報フィルター/コメントとか、id:fromdusktildawnさん風コンテンツ生成とか、id:catfrogさん風あおりとか、UGC(User Generated Contents)からAIGC(AI Generated Contents)もしくは、AIPC(AI Purified Contents)に移行しようとするだろう。そして、プレミアムコミュニティも同時に作るだろう。人のコミュニティとは残念ながら自分と合わせない人物を追放することで成り立っている。表示制限等、現在のはてな社の機能では足りない。

まあ、それでも、本当にはてな社に期待している。顔がみえなくなったはてな社ではあるのだが。