HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

空母いぶき 五巻、六巻

いよいよ自衛隊側の反撃陸上戦の開始。正面装備の性能が勝負を決する海戦と違って、陸戦はあまりに多くの要素に左右される。正直、人を殺す自衛隊という姿には保守主義を自認する私ですら違和感がある。

現下の国際情勢では、米軍と北朝鮮が休戦を破り、戦い始める可能性がある。その場合でも、主にはミサイル対ミサイルの戦いとなるだろう。平和的な交渉では半島の非核化が果たせず、かつ核弾頭と米国本土にまで届くミサイルを北朝鮮が開発しようとすれば、間違いなく戦闘をもって意思を実現するであろう。

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核施設、ミサイル施設をたたいてよしとするのか、文字通り北朝鮮の指導体制を変えるところまでやるのか?基本、先日の習近平氏へのデザート代わりのミサイル攻撃を見ていると、あまり深入りはしない攻撃に留まる可能性が高い。基本は、トランプ氏の自分の権力を誇示するデモンストレーションにすぎない。本当に、習近平氏とトランプ氏はこの意味で五十歩、百歩。

しかして、「空母いぶき」の世界において、中国は日本のなにを狙っているのか?本来であれば、島嶼部を攻めるとともに、日本国内でさまざまな形で配置している「工作員」、第五列を総動員して内側からの政情不安をあおり立てるであろう。戦闘、戦争がながびけばながびくほど、中国の貨幣、経済体制は動揺する。現在の中国の繁栄を犠牲にしてまで、日本の島のひとつ、ふたつを占領する価値はない。

 マーケットに絡む事象に情緒的な表現はご法度だが、最近の中国の人民元の動向を見ていると、気の毒という言葉がつい口を出る。中国は着実な人民元改革で変動相場制へと踏み出していたのだが、予想以上の資金流出で元安を招いた。元安を阻止する為替介入や規制強化は資本移動の自由化や元の国際化の流れに逆行する。かといって大幅な元安を容認すれば米国との貿易摩擦が高まる。中国に打つ手はなく、八方塞がりの状態に陥った。

気の毒な通貨、人民元 (写真=ロイター) :日本経済新聞

ということで、大変残念ながら「空母いぶき」のシナリオが現実化するリアリティは減りつつある。いや、残念ではない。「幸いなことに」と言うべきだった。