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HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

バブル退治は正しかったのか?

お隣中国の経済政策を見ていると、一体日本のバブル経済後の締め付けはなんだったんだろうかと強く疑問に想う。

www.nikkei.com

不振企業の代表格だった東北特殊鋼の法的整理と、DESを積極活用する方針が発表されたのはいずれも10月10日。不振企業は容赦なくつぶすという姿勢を示すことで、DES解禁に道筋をつけたい、という思惑ものぞく。多くの国有企業を恣意的に救う道をつくるために、一部の不振企業を見せしめのようにつぶす、というのが本音だとしたら、本末転倒だ。

日本とはくらべものにならないほど「緩い」財政規律であるように見える中国が、中国版バブル経済からの見事に軟着陸しつつある。「平成の鬼平」と讃えられた三重野元日銀総裁は一体なんだったのか?

1989年12月、同行の第26代総裁に就任すると矢継ぎ早の金融引締め政策を実施。「平成の鬼平」ともいわれたが、澄田前総裁の下で投機によって膨張を続けたバブル経済を崩壊させ(失われた10年を起こした)とされる。その処理・経済再建の課題を、後任の松下康雄に委ねた形となった。三重野は総裁退任後も、「インフレなき経済成長」を唱導し、長期(特に日銀出身の速水優が総裁在任中)にわたり、隠然たる影響力を保っていたと言われている。

三重野康 - Wikipedia

まさに平成がはじまったころバブル銘柄とも言える上場企業に私は就職した。そこで教えられたのは、資産価値、収益率とインフレ率の関係。ちなみに、このことを教えてくれた方はその後、この会社の相当な地位に就かれている。

経営、ファイナンス、あるいは社会慣習的に見たとき、長期に渡る内部収益率(Internal Rate of Return=IRR)とインフレ率は一致する。あるいは、投資をするときに現金を現在価値に割り戻した(Discounted Cash Flow=DCF) 正味現在価値(Net Present Value=NPV)の期待利率と、インフレ率はバランスする。

アダム・スミスの自然率 - HPO機密日誌

現代の低成長、低金利時代では考えられないが、日銀の指導により長期プライムレートは平成2年に8.9%に達した。現場で見ていて本当にびっくりしたのは、1年前まで不動産投資拡大に奔走していた銀行が不動産融資にまったく道を閉ざしたこと。政府のやることは恐ろしい。仕掛かりの案件を抱えた不動産業者は、お金が続かなくなりノンバンクに走った。しかし、不動産価格は下げ続け、担保割れを起こし始めた。そのまま銀行が不動産投資への融資を縮小こそすれ「禁止」状態にしなければ不動産の投げ売りは起こらなかった。投げ売りが起こったために、不動産も、株価も、すべてが値下がり状態となった。投げ売りが起こらなかったらまだノンバンクも営業を続けられただろうが、銀行は救われても多くのノンバンクはつぶされた。さらに投げ売りが続き、不良債権の山だけが残された。これで一体どうやって企業経営をして、経済を成長させろというのか?

結局、企業が順調に経営を進めていくためには資産価値を減らさない経済政策が正しいということになる。私は自分の体験からそう信じている。

以前、インフレとは忘却に似ている、と書いた。3%のインフレでは、10年前の投資の失敗は小さい。(複利計算すると)75%以下だ。たとえ1%であってもデフレでは10年前の投資の失敗は、10%以上「痛み」が増す。この差は、1.5倍。誠に経営とはむずかしい!

インフレとデフレ - HPO機密日誌

衝撃的だったのは、ほんの二言三言であったが、某副首相が某所でおっしゃっていたこと。

「(バブル崩壊後の失われた10年、20年になっても、日銀も大蔵省も)デフレ対策なんか誰も知らない。デフレになってもインフレ対策してた。某教授ですらそう」

政府の中では平成に入ってからの経済政策を「デフレ対策をしてこなかった」と総括していると知って、また少し溜飲を下げた。

ちなみに、クルーグマン教授のリフレ政策の提言もまだ20世紀の頃の日本は勢いがあったから、十分にその力を発揮しただろうが、山積みの不良債権とおかしくなってしまった人口動態で迎えた21世紀の日本には適切な処方箋とはなりえなかった。

hpo.hatenablog.com

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金融庁の政策方針転換にようやく不良債権処理、敗戦モードから経済成長モードに変化しつつある政府の姿勢を感じていた。

hpo.hatenablog.com

そんな中、マンションの固定資産税に関するニュースを見てまたなにをやってんだという暗澹たる気持ちになった。

www3.nhk.or.jp

穏やかなインフレーションを期待できる資産価値の維持は、くりかえすが安定した経営、経済成長の基だと主張したい。投資をしたいという人をこそ大事にしこそすれ、投資意欲をそぐことは経済成長をもたらさない。バブル退治という大見得の後に来た「失われた10年」を繰り返して欲しくない。