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HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

EUの域内安全保障

イギリスのEU離脱の真の問題は、ヨーロッパにおける平和への願いを水泡に帰しかねない行動であることだと。

www.nikkei.com

 2年前の2014年8月3日、(ドイツの)ガウク大統領は仏アルザス地方の山岳地帯にいた。そこは1914年に始まった第1次世界大戦の激戦地。100年前の戦没者を追悼するために訪れた。

 「ドイツは2回の大戦を引き起こし、独仏の国民を2度にわたって憎悪に駆り立ててしまった」。式典で口にしたのは謝罪の言葉。そして演説をこう締めくくった。「血塗られた20世紀という過去から学び、平和と自由を欧州全体に広めるべきだ」。すると同席していたフランスのオランド大統領が応じた。「欧州統合でしか世の中は良くならない」。そしてガウク大統領を黙って抱きしめた。

 翌4日、ガウク大統領が向かったのはベルギーにある激戦地。今度は英国が主催する式典に参加するためだった。だがキャメロン英首相は戦争の悲惨さを訴えるばかり。その教訓を踏まえた欧州統合には一言も触れなかった。

「ヨーロッパ」の歴史は戦争の歴史だ。以下のツイットはこの戦争を歴史を見事に140字以内で表現している。

History of Europe:
War
War
War
War
War
War
War
Arguments about bananas.

To be honest, I'll probably go with banana arguments. #remain

https://twitter.com/pavilionopinion/status/726172850005118976

ヨーロッパの歴史:
戦争
戦争
戦争
戦争
戦争
戦争
戦争
バナナでもめる正直言って、俺、バナナでもめる方でいいわ。#残留

https://twitter.com/pana_rev2/status/746946353008238592

「バナナ」とは?

EUのバカらしい法律

EUの最初の目的は、そもそも関税障壁を撤廃して、域内の経済を活性化することでした。しかし、EUは役所として肥大化してしまい、次第に、わけのわからない法律を作るようになりました。

そのような法律の少なからずに実現性がなく、各国の事情を反映していないので、ビジネスや法務にとって大きな足かせになっています。

例えばタンポンの消費税を決める法律、掃除機の吸引力がすごすぎてはいけない、ゴム手袋は洗剤を扱えなければならない、スーパーで売られるキュウリとバナナは曲がっていてはいけない、ミネラルウオーターのボトルには「脱水症状を防ぎます」と書いてはならない等です。

イギリスがEU離脱した理由 - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)

同じ記事の冒頭に「汎ヨーロッパ」という意識の誕生について書かれている。

ヨーロッパというのは、様々な民族が集まった土地で、昔から領土争いや宗教紛争などが絶えず、一年中戦争を繰り返していました。時には中東や北アフリカの人々とも大げんかしています。

しかし、そういう争いばかりのヨーロッパにうんざりした人の中には、「戦争が起こらないようにヨーロッパを一個の国みたいにしちゃえばいいんじゃない?そしたら、国境引き直したりする必要ないでしょ」と考える人達が出てきました。

例えば、オーストリアの伯爵であるリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー等の「国際汎ヨーロッパ連合」という思想です。(ところでカレルギーの母親は日本人の青山みつさんです)第一次大戦後のヨーロッパは疲弊していましたが、ロシアに対抗する必要がありました。そこで、ヨーロッパの国々が結束しようではないか、という考え方です。

このEUの理念を頭ではイギリス人は理解していても、生活のレベルではEUのもたらす「バナナ」や、移民に耐えきれなかった。戦争、戦争、戦争の歴史に70年余りとは言え、「汎ヨーロッパ」という理念の下、平和を保てたことが驚異だとむしろ受け止めるべきだ。経済的な側面だけで言えば英仏独とその周辺、スペインやイタリアあたりでEU加盟を止めておけば今回のような事態は起こらなかっただろう。しかし、EUの理念が域内安全保障であるのなら、前出のドイツとフランスの大統領の抱擁のように周辺国まで「汎ヨーロッパ」の範囲を広げざるを得ない。

「ヨーロッパの火薬庫」とは今も昔もバルカン半島ギリシャアルバニアブルガリアマケドニアセルビアモンテネグロクロアチアボスニアヘルツェゴビナコソボ、ヴォイヴォディナ・・・、早口のようだがひとつの半島にこれだけの国々、民族がひしめいている。ユーゴスラビアが悲惨な内乱によって崩壊したのは私の中ではまだ記憶に新しい。まして、バルカン半島の根本のウクライナにおいてクリミアをロシアが武力を持って編入したことはまさに現在進行形だ。このヨーロッパ周辺が火種となれば、汎ヨーロッパ、EUの域内安全保障は守れない。この危機感を独仏は共有しているからこそ、難民を受け入れざるを得なくなる。しかし、それは結果的にイギリスの離脱へとつながり、域内安全保障を・・・。あー、ループしている。

EU域外との安全保障については弱体化しつつあるとはいえ、米国主導のNATOも有効に働いている。以上の話しは長い目で見た時、10年単位での安全保障の話しだ。株価が戻っているのをみると、案外人々はイギリス人のように表面的にしかこの歴史的な動きを認識していないのかもしれない。