HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ :アメリカの混迷

大変興味深く見た。ここまでやるのかと。マーベル・シネマティック・ユニバース (MCU) も十数作目になると実に手なれていて、戦闘シーンのリアリティはリアリスティックに作られた戦争映画を超えている。


「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」日本版新予告

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ|映画|マーベル|Marvel|

先日の「バットマン vs スーパーマン」を見たときつくづく米国内の混乱が産んだ作品だと想った。今回の「シビル・ウォー」は更に輪をかけて、不安が広がる内容であった。踏み込んで言ってしまえば、内側から腐っている組織も、国会、国連すらも信じられない。まして、一緒に戦った仲間との友情もすでに信用できない。そこまで、不信感が広がっているのかと。

背景で言えば、キャプテン・アメリカの前作、「ウィンター・ソルジャー」の時点で正義の組織であり、スーパーヒーロー戦隊(!)であるアヴェンジャーズすらも、組織的腐敗からは自由ではいられれなかったことを描いた。今作においても、スーパーヴィランは登場しない。究極の悪はどこにもいない。振り返れば、「ウルトロン」も元を正せば我等がトニー・スタークが創り出したものに過ぎない。キャプテン・アメリカが登場するMCUシリーズは、この数作敵とでなく味方と戦っている。

繰り返すが、誰も信用できない、組織も国も信用できないほど不信が米国で広がっていると考えてしまうのは早計であろうか?ちとオーバーかもしれないが、ドラッカーの「経済人の終わり」を思い出していた。

ドラッカーの本書における主な主張を要約したい。ヨーロッパの500年の歴史において宗教も、科学も、資本主義も、そして、共産主義も人を救えなかった。人々が欲しがるのは安定であるにもかかわらず、技術開発も、経済市場も、経済政策も、そして、社会改革も、逆に社会の不安定さを極大化する方向に運動している。そして、現在は「経済的合理性」、自由主義に一縷の希望を見いだしている時代と居続ける。しかし、誰も現在の「経済人」の後に来るべき世界を描けずにいる。この不安と絶望の中で、ナチスヒットラーは、全てを拒否する、全てを間違っていると主張する。人々が否定と拒否しか産まないナチスに、希望を見出していることがあまりにも危険であると。そして、人々の失望から生まれたナチスヒットラーは、第二次世界大戦への道へと向かっていく。

平成27年2月10日追記 - HPO機密日誌

そにしても、この映画を理解するためには何本の映画を見ておかなくてはならないのだろうか?

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少なくともここまで見ておかないと、「シビル・ウォー(内戦)」のそれぞれの対立の軸が今日の昨日のに始まったことではないことが理解できない。

それはそうと、このプロモーションは受けた。


[字幕] キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー / 戦いの幕開け (ドーナツ)

あ、詳しい内容は今のところWikipediaに詳しい。