HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「あの快い夜のなかへ」

ようやくブリンの「ガイア」を読み終わった。忙しかったのは言い訳に過ぎない。読書量が決定的に落ちている。自分のペースで自分の人生をいきられていない。

それは、ともかく「ガイア」。この小説はクリストファー・ノーラン監督の「インターステラ」に影響を与えていると想う。以下、比較のため両作品のネタバレが含まれている

(”あの快い夜の中へおとなしく入ってはいけない。”)ディラン・トマスの詩の一節が浮かんできた。レイミーが本当に好きなのは、詩の授業だけだ。(”老人は日暮れには、燃えさかり荒れ狂うべきなのだ。光の滅んでゆくのを激怒せよ 激怒せよ”・・・。そうとも、20世紀には、生きることを楽しんでいた若い奴らがいたんだ)

ガイア―母なる地球〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ディラン・トマス。そう、「インターステラ」のマイケル・ケイン演ずる老教授が何度も口ずさんでいたあの詩。

"Do not go gentle into that good night,
Old age should burn and rave at close of day,
Rage, rage against the dying of the light."


字幕だと「穏やかな夜に身を委ねてはいけない」でしたでしょうか。

この詩はイギリスの詩人ディラン・トマスの詩です。

『インターステラー』に出てくる詩の紹介と解説〜イギリスの詩人ディラン・トマスの 『Do Not Go Gentle Into That Good Night(あの快い夜のなかへおとなしく流されてはいけない)』〜 - Cinema A La Carte

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そして、この老教授が構想し、マシュー・マコノヒュー、我等がクーパーがブラックホールの中からのメッセージにより地上で作った人工の大地が重量工学による宇宙に飛び上がる。そもそも、その前提として地球はもはや人類が生存できなくなりかけている状態に陥っている。

スートーリーこそ違うが、ブラックホール、重量工学による宇宙飛行、環境の破壊による人類の住環境の大幅な劣化など、アイデアとしては、両者に共通点は多い。そして、ディラン・トマスの詩。ノーラン監督は確信犯だと私は想う。

ただし、日本語はもとより英語でウェブ上を散々検索してみたが、この類似性を指摘しているサイトが発見できなかった。ブリン自身が2014年4月のブログでSF映画のベスト10に「インセプション」をあげている。が、この後にノーラン監督への言及はない。

Inception (2010) works harder than any film I ever saw. It can be overbearing, especially with the aggressive musical score cranked up! But I have never seen a director strive to juggle as many edgy intricacies as Nolan does in this mostly-successful tour-de-force.

CONTRARY BRIN: David Brin's Favorite Science Fiction Films

いずれの作品を愛すべきSFマインドがある。私は好きだ。