HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

中国開発主義の終焉とブラックスワン

いよいよ中国で全人代が始まるらしい。

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昨年以来話題とされてきた過剰生産性のいよいよ大リストラが問題となるのだろう。

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現場で聞いた話では、電磁鋼など高付加価値の製品ですら中国製品が出回っていて、しかも品質もそこそこなのだと言っていた。これはいよいよ日本の製鉄業界がやばいなと昨年思ったものだ。それが、まさかここまで申告な状況だとは知らなかった。

経済、資本主義は「開発」によってのみ安定しうる。すべては成長を全体としている。マルクス共産主義が敗れ去ったのは、資本主義下における経済成長、技術革新であったと言っても過言ではないと私は想う。オーウェルの「1984年」は、定常的な経済であれば実際に起こっていたとしても不思議ではない。日本も同じ。人口も減少期に入り、開発すべきフロンティアが消滅してしまったので経済成長が止まり、社会が縮約社会に入ってしまった。

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戦後の日本は、「開発主義経済」で中央から地方へのお金の流れと、逆に地方から中央への人の流れが均衡し、バランスを保ってきた。一億層中流意識を持てた稀有な時代であった。この開発主義経済を支えたのが、自動車や電気など、日本を代表する輸出産業であったのだろう。この根本がこれから変わる。

実は上から下まで大変革(相転移)の途中であること - HPO機密日誌

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中国経済の話しを以前聞いた。政府の「開発」が経済を作っていると。空港を造り、オペレーションを始めるところまで、政府の企画で始める。そして、それに乗る資本家、事業家を募るのだという。もちろん、縁故でだろう。そして、なにもなかったところに突然と空港ができたり、街ができたりするのだと。ここに人がついて行っている間はいいが、どこかで限界に達する。それが今なのだろう。

鉄の話しに戻れば、たしか文化大革命の前後で中国全土で炉を造り、鉄鋼の生産に励んだと「ワイルドスワン」にあった。そして、大飢餓を産むほどの政策の失敗を産んだと。

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ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)

ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)

ワイルド・スワン(下) (講談社文庫)

ワイルド・スワン(下) (講談社文庫)

ワイルド・スワン(中) (講談社文庫)

ワイルド・スワン(中) (講談社文庫)

日本の拡大期から縮約期への移行ですらこれだけ大変なのだ。まして、中国はどうなるのやらと。まさに、中国からワイルドスワンならぬブラックスワンが飛び立つ日が来るのかもしれない。