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HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

オーバーカンパニーの建設業

ぼんきゅっぼん」とは、魅力的だということの代名詞だが、建設業は長らく逆の「きゅっぼんきゅっ」の醜い構造をさらし続けている。

建設業界は、顧客の需要があり、直接請け負う建設会社があり、それを現場でもくもくと実行に移す専門業者で構成される。もちろん、ここにヒエラルキーの頂点近い設計者、建築家たちがいらっしゃるのだが、ここでは置く。長らく建設需要は冷え込み、専門業者も高齢化と職離れが進み、「きゅっ」と縮んできた。その中でも、過去にため込んだ自己資本の厚さを武器に請負業者だけは数が減らずにいた。

建設業の業界構造

[書評]週刊東洋経済「ゼネコン現場崩壊」: KEN: (仮称)建築屋の社長ブログ

ここに来て自民党が政権に復帰し、オリンピック開催も決まり、需要は高まっている。しかし、構造問題はいまだに変わらない。業界トップも率直に認めている。まずは大成建設の社長さん。

民間の工事は激烈な競争が続いている。本当にそんな値段でできるのかと思うような値段で、仕事を取っている会社がある。単純にいえば、オーバーカンパニーが理由だ。供給過剰の状態が続いている。だから、景況がよいといっても、ほかの業界から見たら建設業界の利益率は高くない。供給過剰の構造が基本的には解消されていないからだ。

建設業界の現状は「ウハウハ」ではない | インタビュー | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

スーパーゼネコンだけでなく、ゼネコン、工務店レベルでもこの感触はあまり変わらないのではないだろうか?

次に、「オーバーカンパニー」の直撃弾をくらっている鹿島さん。

■土木部門は機械化効くが、建築部門が営業損失に

ただ、単体ベースで、土木と建築の採算を見てみるとその差が歴然としている。

(略)

これに対して建築部門は、上期実績で売上高3277億円に対して売上総利益37億円、売上総利益率1.12%と薄く、部門の営業損益は128億円の損失となった。通期予想でも売上高7200億円に対して売上総利益195億円、率は2.7%、営業損益は151億円の損失を見込んでいる。労務費の高騰で、建築部門は利益が出ない状態になっている。

鹿島、労務費高騰で利益なき繁忙 | 企業 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

しかし、いまだに建設業は若者にとって魅力的な職場ではない。

■「生活保護を受けたほうがマシ」

なぜ、ここまで人がいないのか。建設業界は長期間にわたって市場が縮小し、その間、各社はダンピング(不当廉売)競争を繰り広げた。そのシワ寄せが末端の労働者に集中したのだ。

「職人の年収は200万円半ばから300万円台前半。1日現場に出ても1万円も稼げない」。鉄筋工事を手掛ける小黒組(東京都江東区)の内山聖会長はそう訴える。現場の職人をまとめる親方でも、年収400万円に届くかどうか。「もう親方なんて、呼べるような状態じゃない」(内山会長)。

人が集まらない!建設ワーキングプアの実態 | 産業・業界 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

信じられないかもしれないがこれがまだ昨年12月の記事、昨年後半の現状。

お会いしたある中堅建設会社の社長さんも、まさに「ぼん」っといまだに膨らんでいる請負会社が職人の育成をしてこなかったために、現在の需要をまかなえず、一時的な高騰状況を招いているという反省を真剣にされていた。

ダンピング受注と資材、人手の高騰により今年の建設業は、いよいよ「オーバーカンパニー」問題の深刻さが浮き彫りになるだろう。一時的な需要の高まりにひとつも浮かれてはいられない。

ここまで書いてから自分の過去エントリーを読み直してみて、7年前にほぼ同じ建設業の構造問題について同じ危機感で書いていたことに気づき愕然とした。

つまり崩れる時は一気に崩れる。

地域も建設業も生態系なのだ - HPO:機密日誌

実はことば全く逆で、リーマンショックによる一時的な需要減で救われただけなのかもしれない。実際の現場の人手不足、高齢化が進めば、もっとひどい状態になりかねないと気づいた。高齢社会とは、健康で働く人の価値が高まり、老人がため込んだ貯蓄が価値を失うということだと。