和辻哲郎先生の「孔子」を読んで、ソクラテスの態度に国家と個人の根本が示されていると感じた。ソクラテスこそ、西欧哲学における最初の「人類の教師」と呼ぶのにふさわしい。
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実は「悪法も法なり」とは、ソクラテスの言葉だと想って本エントリーを書こうと考えていた。哲学の基本の基本の礎石を置いたソクラテスの態度は、すべての思想の基本であるのだから。
Dura lex, sed lex
http://en.wikipedia.org/wiki/Brocard_(law)
"The law [is] harsh, but [it is] the law". It follows from the principle of the rule of law that even draconian laws must be followed and enforced; if one disagrees with the result, one must seek to change the law.
調べてみると「悪法も法なり」は、ソクラテスの言葉ではないらしい。「悪法も法」はソクラテスの言葉でなかったとしても、以前「クリトン」を読んでこの方と同様の感想をもったことを覚えている。
「クリトン」では自分がこれまで如何に国と国法のお蔭で生きて来られたか、何故、国の法律を破って国外に逃亡することができないのかが詳細に語られている。私は「クリトン」を読むうちに、キリストの臨終の場面を連想していた。
http://homepage3.nifty.com/chodo/turezure/2006.4.20.htm
改めて、「クリトン」を調べてみた。ギリシア古典をKindleでわかりやすい日本語で読める時代に生きていることの幸せを噛みしめる。クリントにはこうある。
お前は祖国を説得するか、さもなくば命じられたことを実行しなければならないのだ。なんからの苦痛を受けるように命じられたら、殴られることであれ、縛られることであれ、それを静かに受け入れなければならないのだ。戦争に送り込まれて負傷したり、死んだりすることになるとしても、従わなければならない。<義しさ>とはそういうことなのだ。後退することも、退却することも、持ち場を放棄することもすべきではない。戦場においても、法廷においても、どんな場所においても、国家や祖国が命じたことは何であれ実行すべきなのだ。
ソクラテスは、他の多くのアテナイ市民と同様に戦士であった。彼にとって善く生きた結果としての死はひとつも恐ろしいものではなかった。むしろ、「弁明」にあるようにひとつの結果、報いにすぎないと。
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善く生きるために戦うこと、戦った結果として死を正面から迎える姿を、太平洋戦争で散った英霊達と比べてはいけないだろうか?長谷川三千子さんの著作を読んでから英霊たちの態度、そして、一般国民がいかに敗戦を受け入れたかを考え続けている。
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