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HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

アフター・ホットゾーン

読了した。よいドキュメンタリーだった。レストンエボラの存在を本書を読むまで知らなかった。

ホット・ゾーン

ホット・ゾーン

ネタバレになるが、本書で一番メインで扱われているのは、ワシントンDCの郊外のレストンでの出来事。

レストンエボラウイルス感染症
1989~1996年の間に、カニクイザルの飼育施設や検疫施設でレストンエボラウイルス(Reston ebolavirus、レストンEBOV)によるエボラ出血熱様の流行が数回報告されている。レストンEBOVの名称は、1989年に米国のバージニア州のレストンのサル検疫施設で初めてウイルスが分離されたことに由来する。カニクイザルのレストンEBOV感染症は、すべてがフィリピンの同一サル施設のカニクイザルに起因することが明らかにされたが、カニクイザルはレストンEBOVの終末宿主であり、どのように宿主動物から感染したのかは不明のままである。このサル施設が閉鎖された後、カニクイザルでの流行は報告されていない。

IASR 32-7 ブタのレストンエボラウイルス感染, カニクイザル, サル検疫施設, ブタの急性呼吸器症状・流産, 豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス, 豚サーコウイルス2型

私は本書に記述された「モンキーハウス」の近くをこの事件の後に何度も通っている。ワシントンDC郊外のバージニア州レストンは、ダレス空港へのハイウェイ沿いだ。本書に書いてあるように、90年代にはハイウェイ沿いにIT関係や、コンサル関係のぴかぴかのガラス張りのビルが沢山たっていた。

Reston on Google Map

https://goo.gl/maps/VOcXk

サルが感染したのが人間には映らないタイプのウィルスでなによりよかった。I-495号線、いわゆるベルトウェイの内側だけでも180万人もの人が住んでいる。なよりも合衆国の首都だ。

一章でエボラ・ザイール、エボラ・スーダン恐怖をかき立てられながらも、最終的には人に感染しないレストン・エボラ・ウィルスと判明するという筋立ては、古くは「アンドロメダ病原菌体」に似ている。映画「アウトブレイク」でもそうだった。

アンドロメダ… [DVD]

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ともあれ、研究は進んでいるようだ。

ザイールEBOVとマールブルグウイルス(MARV)は、アフリカのオオコウモリにおいて抗体陽性や遺伝子陽性が証明され、オオコウモリがこれらの自然宿主であることが示唆されている。特にMARVはエジプトルーセットオオコウモリから分離されている。ザイールEBOVのウイルス遺伝子および抗体が、ウマヅラコウモリ、フランケオナシケンショウコウモリ、クビワフルーツコウモリから検出され、抗体がエジプトルーセットオオコウモリから検出されている。感染研、東京大学、フィリピン大学との共同研究から、フィリピンのコウモリのうちジェフロワルーセットオオコウモリから抗体が検出されている。

IASR 32-7 ブタのレストンエボラウイルス感染, カニクイザル, サル検疫施設, ブタの急性呼吸器症状・流産, 豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス, 豚サーコウイルス2型

1995年のキクウイットでの発生の際に、ヒトでの発生が終焉した後、昆虫、ネズミ類、サル類等の血液、組織等5万検体にわたり調査されたが、エボラウイルスのウイルスも遺伝子も抗体も見つかってはいない。ただし、コウモリの一種ではウイルスを接種しても病気を発症しなかったことから、自然宿主ではないかと疑われている。

IDWR: 感染症の話

2011年になって2つの独立した研究グループが、ヒトの遺伝子のうちNPC1 (Niemann-Pick disease, type C1) と呼ばれる遺伝子がコードしているタンパク質が、エボラウイルス属の感染に必須な事が示された。

エボラウイルス属 - Wikipedia

治療方法にも一縷の光が見えていると聞く。

  • 2014年8月6日、中央アフリカで大流行しているエボラ出血熱の医療チームで感染した米国人2人に対して投与された実験用の抗体治療剤「ZMapp」の効果があったことから、この未承認薬のエボラ出血熱患者への投与承認を求める申請がWHOになされた。(中略)またTekmiraとBiocryst Pharmaceuticalsの2社がアメリカ政府の援助を得て、新薬を開発中である。
  • 富士フイルムホールディングスの傘下企業富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬『ファビピラビル(Favipiravir)』は疫病のマウスモデルにおいて有用でありうるように見える。
エボラ出血熱 - Wikipedia


とはいえ、事態は進行している。そら恐ろしいほど。

2014年の西アフリカエボラ大流行は、2014年2月から、ギニアをはじめとする西アフリカにてエボラ出血熱が流行している事象で、2014年8月11日までのWHOまとめでは、感染疑い例も含め1975名が感染し、1069名が死亡(死亡率54%)した。

2014年の西アフリカエボラ大流行 - Wikipedia