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HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

福岡伸一さんの「動的平衡」

さらっと読めた。実際の「動的平衡」そのものを語っているのは、第八章。ほかは、雑誌掲載であったというだけあって、それぞれが独立した次章を扱っている。

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

自分の体も、意識も、常に入れ替わっている。そこにあるのは、ひとつの「定常状態」にすぎないと。

絶え間なく動き、入れ替わりながらも全体として恒常性が保たれていること。人間の社会でいえば、会社組織とか学校とか、人が常に入れ替わっているのにブランドが保たれている、そういうものをイメージしてもらってもいい。

『動的平衡』を書いた福岡伸一氏(青山学院大学教授・分子生物学者)に聞く | オリジナル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

生命も、意識も、自分も現代科学からいっても確かに存在し続けているとはいえない。逆にいえば、行動しつづけるしか自分を先へ先へとつなげていくものはない。いま現在の行動が次の私を作るのであれば、自分の定常状態としての体質、自分の習慣、自分の行動を常に変革する以外に生き方はない。自分を固定したもので、変わらないもの、変えられないものと規定する生き方は生物の原理原則にしたがっていない。

実は、本書はある方と「意識とは何か?」について、「禅とオートバイ修理技術」、「非線形科学」、「新しい自然学」などと一緒に議論するために読んだ。

禅とオートバイ修理技術〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)

禅とオートバイ修理技術〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)

禅とオートバイ修理技術〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

禅とオートバイ修理技術〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

非線形科学 (集英社新書 408G)

非線形科学 (集英社新書 408G)

新しい自然学―非線形科学の可能性 (双書 科学/技術のゆくえ)

新しい自然学―非線形科学の可能性 (双書 科学/技術のゆくえ)

常に生成しつづけるもの、ピュシス/カオスとしての生命、身体というところから意識の生成につながるという考えを伝えようとした。分子のレイヤー、生命としてのレイヤー、神経組織のレイヤー、意識のレイヤーとそれぞれの生成、それぞれの動的平衡という話しは盛り上がった。だが、肝心の「自己組織化」というキーワードが抜けてしまっていて、相手に伝わらなかった。振り返ってみれば、デイヴィッド・マーを大学時代に学び、ごく単純な「モナド」から構成されるシステムから産まれるカオス的挙動、常に生成される場としての生命、認識、意識といったものに常に興味を持ってきていた。同じことに興味を持つ方が近くにいるということは、大変うれしい限りだ。

ビジョン―視覚の計算理論と脳内表現

ビジョン―視覚の計算理論と脳内表現

自己組織化と進化の論理―宇宙を貫く複雑系の法則 (ちくま学芸文庫)

自己組織化と進化の論理―宇宙を貫く複雑系の法則 (ちくま学芸文庫)