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HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「チープフライト」の背景

録画していた「チープフライト」を、「HDDの録画容量がいっぱいなんですけど、これ見るんですか?」と家人に言われて見た。実にヒューマンなドラマだった。ヒューマンな一方、かなり社会的に喫緊なテーマをいくつも含んでいた。

チープ・フライト|日本テレビ

つい先日DVD/BDが売り出されたばかり。

チープ・フライト [DVD]

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まず、LCCの現実を正面から描いている。「謝らない」、「荷物をあげない」、「旅客をいかに効率的に運ぶ」等、LCCの原則がうまく盛り込まれていた。一方、LCCにおけるCA、クリーニング等複数の業務をこなすための「エンパワーメント」的要素がトレーニングの場面で描かれていた。航空業界のエンパワーメントは、「ピープルエクスプレス」のケーススタディがあまりに有名だ。

CEOのドナルド・C・バーは、人が働く上で、優れた方法を見つけたい、とピープルエクスプレス航空(以下PE)と言う会社を1981年に始めた。目的は、MABW(Making a Better World)だ。

「生き残りには、クリティカルマスを超え、成長が必要だ。成長は、最高のサービスと低価格も生むので顧客にも好い。」とバーは考えた。PEは、優秀でサービス精神のある人材を惹きつけ、やる気を出し、生産性を上げ、超低価格と多くの便数の運行をした。

ピープルエクスプレスのケースで学ぶ - MBA還元計画 - Yahoo!ブログ

結局、一時年率90%の成長を誇ったLCCのプロトタイプ、ピープルエクスプレスは、文字通り燃え尽き、消え去ってしまった。1000人もの社員を中間層なしで15名の役員で統率しようとした。勇気ある行為だが、エグゼクティブ、マネジメントレベルの社員が燃え尽きてしまっては、会社として体をなさない。心理学バックグランドの管理職として、私は組織内でエンパワーメント手法を使いたい誘惑に駆られるのだが、その度にピープルエクスプレスの「燃え尽き」ケースを思い出し、巡航速度のマネジメント、業務遂行でいかに高い成果をあげる組織体制を作るかに腐心してきたのだが、それはまた別の話し。

今年の3月という時期、成田空港という設定から言っても、LCCと成田空港のカーフュー緩和問題を下敷きのテーマとしていた。元々、ピーチをモデルにシナリオが書かれているし、ピーチが全面協力しているので、中部国際空港で撮れば良かったはず。実際、成田ではスケジュールが取り切れなかったのか、羽田空港で撮られた場面もかなりあった。

原義は、curfew:夜間外出禁止開始時刻[実施時間]。航空機運航の業界では、航空機の離着陸が(主として空港周辺騒音防止対策の為に)禁止している時間帯を言います。

成田では23:00〜翌06:00が「カーフュー」で離着陸禁止です。ただし、1時間前までに事前通告のあった緊急事態の航空機は例外。

成田空港の「カーフュー」って何ですか?詳しく教えてください。 - Yahoo!知恵袋

これがまさに本ドラマが放送された3月に緩和された。

平成25年3月29日

 成田空港では、昭和53年の開港以来、23時から翌朝6時までの時間帯は原則として離着陸を禁止しています。

 本日開催された「成田空港に関する四者協議会」における合意(別添1)により、3月31日(日)から、航空会社の努力では対応できないやむを得ない場合には、23時〜24時に限り離着陸を認める「離着陸制限(カーフュー)の弾力的運用」を開始します。(別添2)

 これにより、成田空港は、3月31日(日)のオープンスカイの開始に合わせ、ますます利用者に便利な空港になります。

報道発表資料:成田空港の離着陸制限(カーフュー)、弾力的運用へ - 国土交通省

カーフューの弾力運用の決定はこの発表のぎりぎりであった。つまり、ドラマを撮影している時期、放送の日ですら弾力運用が検討されてこそいてもまだ決定されていなかった。この弾力運用ができるかどうかがドラマの山場を見ればわかるように、LCC存続には欠かせない条件なのだ。だからこそピーチが協力したのだろう。