HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「あんたみたいにいい人は中国人は誰でも助けてくれる」

市井の中国人の人物観が、そのしぶとさを感じさせる太原陥落直前エピソードにこころ打たれた。

祖国復興に戦った男たち―終戦後四年間も中国で戦った日本人の記録

祖国復興に戦った男たち―終戦後四年間も中国で戦った日本人の記録

太源のある街角で、タバコや駄菓子を売っている小店の(中国人の)主人が私と親しかった。昭和十六年、まだ日中の戦争中、彼が日本人の酔漢にからまれて殴られているのを助けたことがあった。(中略)

二十四年の年も明けての二月頃、彼(小店の主人)は私に「太源が済んだら、どうするか」と聞いた。「どうなるかわからぬ。やるところまではやるつもりだ。」と言うと、声をおとして「あんたみたいにいい人は中国人は誰でも助けてくれる。この近所の者はあんたのことを知らぬものは一人もいない。軍隊をやめて商売をやるなら、いつでもきてくれ。暮らしに困るようなことはさせないから。しかし、いっとくが。これだけはやるなよ」と言って、彼は腹を切るまねをした。


城野先生の毛沢東持久戦論への情勢判断もあとで触れたい。

青春時代から様々な形で城野先生の脳力開発に触れてきた私としては、先生の根幹をなす体験に触れられ大変勉強になった。