HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

中国統治の正統性と

つい先日、なにかの会話の中で「諸葛孔明がいたのに、なんで蜀なんてよくない名前をつけたのだろう?」という話しをした。その疑問がid:finalventさんのエントリーを拝読して、解決した。

劉備は蜀ではなく正統の表明として漢を旗としていた。

清史を必要とする中国共産党王朝: 極東ブログ

Wikidpediaにも「蜀漢」とある。

実際には魏の文帝曹丕後漢を滅ぼして即位した時に、漢の正統を継ぐものとしたため、漢が正式な国号である。蜀あるいは蜀漢という呼称は、後世の人々が統一王朝であった漢との区別のため便宜上つけたものである。

蜀漢 - Wikipedia

そもそも漢の王朝の血を引くことを自称していた劉備玄徳が「漢」を名乗らない訳がない。

中国共産党清王朝からつづく正史を必要とするという話しはそのまま「蒼穹の昴」を思い出させる。なんといっても、清の終わりの時代に、「次の王朝を取るのはお前だ」と予言される少年が、後の毛沢東なのだから。*1

蒼穹の昴(上)

蒼穹の昴(上)

蒼穹の昴(下)

蒼穹の昴(下)

浅田次郎のつむぐ歴史物語は清王朝の崩壊の過程と、失われた中国王朝の正統性の証をめぐって展開していく。この総代な物語の最後の到着地が毛沢東なのだ。まさに、清朝の天命がつき、革命により正統性をにぎったのが毛沢東であると暗示させる。

逆に現代中国共産党は、この「蒼穹の昴」を読んで2003年から清の正史を編み始めたのではないかとすら思える。

*1:私の記憶違いかな? http://blog.livedoor.jp/kyohisa1/archives/13863658.html 白太太が未来を予言したのは毛沢東ではなく、李春雲だったか?