HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

利根川も、江戸川も人工河川

両方とも、廻船網による物流網のために造られた。

江戸はこうして造られた―幻の百年を復原する (ちくま学芸文庫)

江戸はこうして造られた―幻の百年を復原する (ちくま学芸文庫)

本書によれば、治水というよりも物流ネットワークを造るために江戸川が切られたと。日光東照宮もそのためにあの場所に造営された。

そのことが実感できる体験がある。

ひとつは、知人の話しだ。その知人は、数百年の間利根川を馬で船を引く商売をしていたと語ってくれた。関宿のあたりまで、米などを積んでさかのぼっていき、そこからは江戸川を流れをそってくだらせたらしい。

もうひとつは、ボートだ。「遠漕」という行事がある。戸田のオリンピックコースから、船を出して荒川から江戸川をさかのぼり同じく関宿まで登っていき、船を担いで利根川に渡り、そこから銚子まで漕ぐ。シェル艇という浅瀬でも航行できる船を使うからこそできる芸当だが、考えてみれば、江戸の廻船網が整備されたからこそ埼玉と東京の中心から太平洋まで出れたわけだ。

本書に書かれたことを生活での体験が符丁するというのは実に楽しい体験だ。