HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

高橋洋一は燃えているか?

旅行に行く前から読んでて、ようやく読み終わった。

恐慌は日本の大チャンス  官僚が隠す75兆円を国民の手に

恐慌は日本の大チャンス 官僚が隠す75兆円を国民の手に

最初だらだら読んでいたのだが、大恐慌の分析のあたりからめっきり面白くなった。フリードマンすごいじゃん、バーナンキすごいじゃんと見直してしまった。この説得力ある分析によれば、金本位制にこだわって独自の金融政策の独自性をとれなかった国が恐慌の直撃を受けたと。現代に至っては、インフレターゲット中央銀行が明示していないのは、米国と日本だけだと。これだけいわれちゃ、確かに「普通の国」になるべき日本はインフレターゲットするしかないじゃんということになる。

そうそう、GDPデフレーターと自然率の理解はなんとなく深まった気がする。

しかし、「イノセントゲリラ」の海堂尊さんといい、高橋洋一さんといい、「官僚統治主義」がここまで根深いものなかと実感する話しが満載。高橋さんの竹中改革時代の体験談を読んでいると、海堂さんの小説の役人の登場人物がデフォルメでも、カリカチュアでもなく、現実に存在しそうな気がしてくる。 *1

イノセント・ゲリラの祝祭

イノセント・ゲリラの祝祭

この本と藻谷さんの本の両方をすばらしいとほめることはさすがに論理的矛盾に陥ってしまう。うーん。

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

対症療法としてあげている部分は、私くらいのおおざっぱな感覚で言えばにたところがある。あたりまえだが、現在の日本の最大の問題は、潜在GDPと現実の消費の間のギャップにある。ここの埋め方が、高橋さんだと金融緩和、リフレになるし、藻谷さんだと高齢者からの資産移転といことになる。あとは....ちょっと難しいかな。また考えてみる。

*1:ちなみに、この小説にでてくる医学に特化した政治社会体制というのが、伊藤計劃さんの「ハーモニー」に出てくる。Amazon.co.jp: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA): 伊藤 計劃: 本