HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

人類の歴史は、ゼロサム・ゲームか?非ゼロサム・ゲームか?

友達から借りたDVD版の「銃・病原菌・鉄」を見ている。

銃・病原菌・鉄

銃・病原菌・鉄

本で読むのよりも、映像ではよりなまなましく感じる。

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

「銃、病原菌、鉄」と「繁栄」は同じ人類史、西欧の繁栄とアジア・アフリカの停滞という同様のテーマを扱っているのに、出てくる答えは正反対だ。扱っている時代、生物学から社会学、心理学まで学識、問題意識など、実に両者は共通した記述を含んでいる。

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(上)

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(上)

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(下)

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(下)

一方は、人類史をゼロサムゲームとしてとらえ、虐殺と略奪の歴史とみる。他方は、非ゼロサムゲームとしてとらえ、人類史を比較優位の原理に従った交易と富の拡大とみる。

人類は、相互の違いのために、土地を取り合い、資源を取り合い、殺し合う道を歩んだととらえたのがジャレド・ダイアモンドの見方。

人類は、相互の違いを生かして、生産物を交換し合い、製品を交換し合うことで、交易による比較優位で繁栄してきたととらえるのがマット・リドレーの見方。

私には、マット・リドレーの見方に与したいと感じる。なぜなら、べき乗則と自己組織化の力を歴史の中に感じるから。しかし、はてなダイアリーで扱われている回数でいえば圧倒的にダイアモンドの方が多いようだ。

ゼロサムゲームと見ても、非ゼロサムゲームとみても、文化の進化と集中化は関係が深い。そして、大きな結果の差を産むと観察される。

「繁栄」に出てくる黒死病の記述に、「ドゥームズ・デイ・ブック」を思い出させられた。