HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

あやまった政策、あやまったインフレーションのあやまった情報の最たるものが建設産業

ケインズハイエクがラップで議論するYouTubeの動画をご紹介いただいた。

ハイエクの言う政策的な公共投資や、意図的なインフレーションは、自然な経済成長の方向をゆがめるという主張がよく表現されていた。本来これからの社会に必要とされる産業セクターにヒトモノカネが割り当てられるべきであるのに、「政策」がそれを歪め、長い目で見た社会の成長を遅らせるのだと。このハイエクの主張に最も当てはまるのが、過去十数年間の建設業界なのかもしれない。本来、もっとITや医療の発展に向かうべきであったヒトモノカネを吸い取って来たのかもしれない。

日本の「失われた15年間」の間、最も失われなかったのは、建設業界であったろう。人口動態や、景気に関わりなく、結果から言えば安定したパフォーマンスを重ねて来た。

ひとことでいえば、今後の人口動態から言えば建設業はもういらないと。実際、この表にのっている平成19年以降、リーマンショックがあり、住宅着工は大幅に落ち込む。

国土交通省が30日発表した2009年度の新設住宅着工戸数は前年度比25.4%減の77万5277戸で、1964年度(76万4619戸)以来、45年ぶりの低水準だった。

09年度の住宅着工戸数、25%減

ハイエクの主張のように、日本の住宅への本来の必要性を超えて、政府の景気対策によって税制面から金融面まで住宅産業は二重、三重に支えられてきた。公共工事によって支えられてきた建設・土木業界そのものはいわずもがな。

これがもっと早く、たぶん平成の初めにもう住宅は十分だと政策転換し、諸々の優遇政策をやめていれば業界自体は壊滅的な危機を迎えていたかもしれないが、総世帯数の1割増しの住宅ストックを抱えることはなかったかもしれない。新築は大幅に減っていても、流通、リフォームは成長していかもしれいない。住宅の価格は下落しなかったかもしれない。住宅・建築ストックに向かってしまった投資は、別の投資に向かい、日本の成長を押し上げて行っていたかもしれない。耐震偽装事件も起こらなかったかもしれない。

歴史にもしもはないので、いまの現状を見据えるしかない。基本的には、過去15年あまりで失われなかった分がこれから失われると考えるのが適切なのではないか。つまりは、2割から3割のストックの調整。業界的には、これから10年分くらいの仕事が失われると考えるのが普通の思考だ。

と、暗く考えていたのだが、安藤忠雄先生のお話を聞くことができ、いやいやまだまだやることあるなと気づかされた。