HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

べき乗則は勘定に入れよう

昨日のすご本オフのブックシャッフルでいただいてきた「犬は勘定に入れません」を読んでいる。上巻の半分、つまりは、全体の4分の1ほど進んだ。

この本は、「歴史はべき乗則で動く」のSF的副読本として読まれるべきだ。

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

注意深く読めば、非線形科学、大構想(グランド・デザイン)((偶然と必然、神はさいころを振りたもうか!)ダーウィンと神の意志の話。)、ルイ16世を断頭台に追いやった一枚のフラン札など、「歴史はべき乗則」と共通するキーワードに満ちている。

本書のタイムトラベルには、いろいろな制約がある。基本的には、大きく過去の歴史を改変するタイムトラベルは不可能であること、過去の微生物以上の生物や物質を未来へもってくることはできないことなどだ。そして、その理由は時間そのもののフィード・フォーワード効果であるとしている。

つまりは量子力学的な「偶然」は、非常に短い時間の間でおこり、お互いにその作用を打ち消しあっている。したがって、コップの中の水は、宇宙が終わるまで待っていても、コップをそらに持ち上げる力は発揮したい。

ただし、歴史はべき乗則なので、本書で「近づけない」場所、いや、失礼時間として表現される特異点においては、歴史が大きく変化する。

もしかすると、この後でてくるのかもしれないが、何が大きな変化で、何が打ち消しあう短い相互作用なのかには、人の主観があると私は思う。渡辺慧先生の長い時間と、短い時間の単位レイヤーには、べき乗則が垣間見られたようにも思う。

先が楽しみであり、時間とべき乗則との考察につながるようなきがする。ありがとうございます。

もっときちんと検証すべきなのだが、眠くて仕方がないので寝る。