HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

少年の日の読書

最近、ほとんどアルジャーノン状態で、本がすっかり読めなくなってしまった。ちょうど6年前、ブログを始めるまでは「もう読むべき本なんてないな」とすっかり、忙しさにかまけて読書の習慣を放棄してしまいそうだった昔に戻ってしまったようだ。*1

アルジャーノンに花束を

アルジャーノンに花束を

こういうときは、背伸びをせずに子どもの時代にもどったつもりで本を読む。「奇巌城」はその意味でとても楽しい読書であった。

奇巌城 (シリーズ怪盗ルパン)

奇巌城 (シリーズ怪盗ルパン)

解説を書かれた佐藤宗子さんの体験と重なる。

深閑とした洋館。夜陰の物音。息をひそめて様子をうかがう少女。・・・
小学校5年の私が、ごつごつとした題名−−−奇巌城という漢字も、キガンジョーという発音も、かたくいかめしい−−−、なまなましい挿絵−−−当時の版では、きわめて写実的でたじろぐほどだった−−−にもかかわらず、初めて手にしたルパン物にひきこまれたのは、この発端の、何とも巧みな設定のおかげでした。

子どものころの読書って、場面場面がカラーだったように思う。とてもヴィヴィッドにひとことひとことからイメージを喚起できた。あの子どものこころで本を読みたい。

ちなみに、ルパンをかくまい、看病したクラリスは、この奇巌城のレイモンドから宮崎駿が発想したのだろう。ああ、そう、きっといまでも宮崎駿という人は、いまでも少年の日の心*2で本を読める人なのだ。

ルパン三世 - カリオストロの城 [DVD]

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*1:なつかしい。 http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/01/post.html でも、ブログで最初に書いた記事が書評のリストということは、自分が記憶しているよりは本を当時も読んでいたのだろうか?

*2:id:activecute typoご指摘いただき、ありがとうございました。