HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

女という人生最大のトレードオフ

「フリー!」を読んで初めて「トレードオフ」とはなにかを理解できた。実に端的なたとえだ。

女とはとても一緒に暮らせない。しかし、女がいなくては生きていけない。

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男と女がいかに平和に暮らせるかというのは、人生最大の問題であり、聖人にも、王者にも、商人にも、解けない課題なのだ。

シッダールタ」に出てくる「息子」は、ヘッセ自身の妻への想いを反映しているのではないかと私は思った。「シッダールタ」を書いた翌年ヘッセは3人の子どもをもうけた妻マリアと離婚している。シッダールタの好意に感謝せず、逆に恨みに思い、これを裏切るという姿は、子どもの、しかも、男の子のやることとは思えない。私もちょうどこのころのヘッセと同じ年齢だからわかる。女はどこかの時点から一緒に暮す男への尊敬を失い、これへの恨みつらみを生涯語り続ける。夫が、どんな聖人であっても、どんな金持ちであっても、どんなスポーツマンであっても、このプロセスは変わらない。

具体的に書くと非常に差し障りがあるのだが、ある女性から、私から見ればささいなことからはじまった夫へのうらみつらみから、夫へ復讐を続けたという話を聞いて凍った。十数年に渡る復讐ののち、夫は死んだと聞いた。こころが凍った。

何度も書くが、母が私に言ったように男と女のやりとりは、いのちのやりとりなのだ、良くも悪くも。


■そして、ヘッセの見出した男女の平穏

びっくりした。

(ヘッセと3度目の妻、ニノン・アウスレンダー)彼らの共同生活は、窓越しに見える部屋に別々に住み、意志の疎通は、ドアのメモという、つかず離れずの生活だったという。54歳で結婚、友人の建ててくれた新居の間取りも居住区は別々だった。二ノンとの共同生活はヘッセが亡くなるまで35年以上続いた。

(21.9.17) 河村義人 読書会記録 「車輪の下」 ヘルマン・ヘッセ: 資料集

三度の結婚で、ヘッセが見出した平穏な男女の関係は、いまのブログ界隈に例えれば、交わす言葉はメールで、姿をみるのはスカイプ、直接ふれあうのはほとんどない、という関係に相当するのだろう。

*1

*1:以上を、私は男なので男として書いた。しかし、性的な平等の観点、政治的正しさの観点から、男を女、女を男、夫を妻、妻を夫と読み替えていただいて一向にさしつかえない。