60年の時を経て、議論は繰り返される。創造的破壊は政策的に作り出せない、そして、不況下ではますます既存企業が強くなるのだと。やはり、適応度地形の上の進化なのだ。多様性は麗しい澤でこそ発展する。
それはあたかも力を加えられた鞭がしなり、いつでも跳ね返ろうとするものの、限界がくればポッキリ折れてしまうのに似ている。
2009-12-11 - HPO:機密日誌
- 作者: 竹森俊平
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/02
- メディア: 文庫
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縮小する世界においてべき乗則的序列が生成されるのは、戦場でのエースの撃墜数を見ていても明らか。
本書の考察の通り、不況というネットワークの縮小の局面では、リンクを多数持つ既存企業がますますリンクを獲得し、ネットワークの辺縁のベンチャー企業などは窮地に陥る。かつ、べき乗則的な分布になるため、階級社会といってもいいほど、持てるものと持たざる者との差が開いていく。
それにしても、情報の開示を信頼できないために、中古車の価格が下がるレモン効果により健全銀行にこそ公的資金注入をしなければならないという結論は興味深い。たしかに、安い中古車が事故車でない証明はできない。また、銀行の情報開示もどれだけ法律を厳しくしても、投資家はその上方を完全に信じることはないだろう。経済学もつまるところはぎりぎりの信頼感をベースに発想しているのだ。