そもそも、自分自身だってよく理解できないのに、相手を理解できると思うことが傲慢なのかもしれない。「私」自身を理解したくて、心理学を勉強しに大学に入った。4年間勉強してもなにも理解できなかった。その後、20年間社会人をして、結婚もし、子どももでき、会社でも部下がついても、いまだに異性も、同性も、自分も、理解できないままでいる。
結婚前はあまりお金もなく、給料は月末には底を尽きるような生活だった。こんな状態で二人の生活を始めてやっているのか不安はあった。「むさぼれば足らず、分け合えばあまる」とどなただったか教えていただいた。まぁ、一人よりも二人のが暖かいだろうと社会人になってまもなく結婚した。
それから、まあ...、いろいろあっていまに至る。まあ、20年以上も一緒にいれば山もあれば谷もあり、よく結婚式の祝辞に言及される「まさかの坂」もあった。「いろいろ」あるのは、心理学的・経済学的・社会学的・深層心理学的にパートナーを心底理解していないからなのだと思っていた。10年もたつころには、「いろいろ」におしつぶされてパートナーに「何も期待していないよ」と口では言っていた。そう言ってはいながら、どこかで相手にも自分を理解してもらうと依存していた。「いろいろ」の原因はお互いに理解しあえてないからだと思い込んでいた。
で、最近、相手を心底から理解しようとする努力をやめた。理解しようとする努力をやめても、いや、やめたからこそ相手が喜ぶことをしてあげる気持ちになれた。ごくごく表層で相手が喜んでくれる、たとえば、ちょっと肩をもんであげるとか、相手がしてくれたことに素直に喜ぶとか、そういうごく普通の生活レベルでの行動を発見するようなった。
「グッドウィルハンティング」という映画で、ロビン・ウィリアムスの演じるカウンセリングの教授が亡くなった妻がよくベッドの中でおならをしたという話をしみじみするシーンが好きだ。「くだらないけど、ぼくだけしから知らない彼女の癖が、彼女がいなくなってからとても大切に思えるだ」と言っていた。
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いま、このエントリーを書いている脇で寝息をたてて彼女は寝ている。そんなロビン・ウィリアムス的な日常がとても大切なのだとつくづく思う。
■なるほど
すばらしいな。非常に共感させていただいた。
で、あなたがこんな努力をして得られるものは何なのかというと、それは「尽くす喜び」だ。
僕が7年弱の結婚生活で学んだ、とても大切なこと : 企業法務について