HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

女から女へ伝わるもの

ひさしぶりに本屋にいくといろいろ発見がある。佐野洋子の新刊、「シズコさん」もそうだ。

シズコさん

シズコさん

アマゾンの書評に血が滴っているのを感じる。

今まで私が人に言えなかったことを、こんなに激しくぶつけられて青ざめた。
「母が嫌い」
この一言を胸に隠して何十年も過ごしてきた。
人に知られてはいけないと思っていた。
佐野さんは、ご自分のお母様との相克を隠さず書いた。
激しく厳しく書いた。頭が下がる。

諸事情あって、女性のパーソナリティーの破壊的側面について考えて来た。それを男側からは「狂気」と呼ぶしかない。それは、母親から由来するに違いないという結論に達した。

ずいぶん昔に、「シビル」を読んだ。まだ、女も知らず、生きるということの現実もしらないころだった。それでも、間接的に心理学の勉強をしてみようという動機ではあった。

失われた私 (ハヤカワ文庫 NF (35))

失われた私 (ハヤカワ文庫 NF (35))

いま思い出せば、これは母と娘の葛藤の物語なのだ。母親との問題を抱えている人は↓の動画を見ないほうがいい。

いま、見てシビルの家には、祖母が同居していたことを思い出した。

これは代々、譲られてきた物語なのだと。決して近代に生まれたものではないと私は思っている。ギリシアのディオニュソス神を信仰した女たちの話が残っている。あのよくギリシアの壺に描かれた女たちだ。

マイナスは「わめきたてる者」を語源とし、狂暴で理性を失った女性として知られる。彼女らの信奉するディオニューソスはギリシア神話のワインと泥酔の神である。ディオニューソスの神秘によって、恍惚とした熱狂状態に陥った女性が、暴力、流血、性交、中毒、身体の切断に及んだ。彼女らは通常、キヅタ(常春藤)でできた冠をかぶり、子鹿の皮をまとい、テュルソス(en:thyrsus)を持ち運んでいる姿で描かれる。そこで未開時代に見合った粗野で奔放な踊りを踊るのだ。

マイナス (ギリシア神話) - Wikipedia

こんなことをいまさら考えている自分ななんなのだろうか。ただただ、怒れる女は抱きしめ、受け入れるしかない。たとえ、それが狂気と呼ばれようと。

■参照