HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

海辺の生と死

「死の棘」の島尾敏雄の妻、ミホの作品。美しい南の国の見知らぬ物語にこころひかれる。一人ひとりの人物や、生き物が原色で浮かび上がる。

海辺の生と死 (中公文庫)

海辺の生と死 (中公文庫)

やはり、ほんの少し前の時代まで生と死は身近なものであった。現在のように、生も死も遠ざけてしまい、意識の内から出してしまえば、停滞、腐敗につながる。

生と死の感覚ともったいない、思いやり、村の「共有地」といった感覚は案外近いところにあるのだろう。

また、世代の交代と連続感、そして技術の進歩と生活レベルでの適応、選択のスピードのアンバランスが、モダンというのもの特徴なのだろう。腐敗臭をともないながらも。