HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

ゲド戦記

ああ、なつかしさのあまりアマゾンから自分の書評をひろってきた。

ゲドにとって、第1巻が誕生の物語で、第2巻が成熟の物語であるなら、本書は老年と死の物語である。生と死、若者と老人、純粋と不純、ハレとケガレ、ファンタジーと現実、いろいろなものが対で語られる。実は、対で存在するものは他方がなければ自分も存在しない。自分の対になるものが、空気がぬけるように、川がせきとめられるように、力を失ってしまったとき、ここにかかれているように自分自身もリアリティーを喪失してしまうのかもしれない。人間の根本にある力をフィーリングに過ぎないとはいえ、直に感じさせてくれるというのもファンタジーの力なのかもしれない。人間の根源を見極め、自分の中の「対」のバランスを取るのが成熟ということなのかもしれない。

さいはての島へ―ゲド戦記 3

さいはての島へ―ゲド戦記 3