HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

未来への希望

少子化が続いているらしい。でも、政府は無為無策としか思えない。昨日も母子家庭の補助金をカットするというアナウンスがあったらしい。不正に補助金をもらわれていたりするのは、確かに腹立たしい。しかし、ここまで特殊出生率が下がっているのなら、もっと女性が子供をそだててもいい環境整備をするべきだ。いろいろな事情でシングルマザーという選択をする人だっている。それをなぜ後押しできないのか?本当に理解に苦しむ。 本稿では、不況という現状と子供について考察する。

一方、いまの日本が陥っているこの不況は実はこれまでの生き方を変えるいいチャンスなのかもしれない。結局、高度成長時代も、バブル時代も、ポストバブルの時代も、日本の国民がこころから幸せだったと胸を晴れる時代は戦後は一度もなかったように思う。すべての時代を通じて馬車馬のように働かされ、世界で類もみないほど重い税を払い、薄いストックのため自己資本比率が低く借金に苦しめられ、被虐史観により自国に対する誇りを奪われてきた。すでに三流国に落ちてしまったこの時代こそ、これから100年の方向付けを行い、人々を幸せにする国のかたちを作る時代でなければならない。それは、単なる経済的な成功を志向するのでなく、人々が努力しながら未来への希望をもち、日々の生活に喜びを持ちながら、自国に誇りを持てるような社会体制と人々の生き方である。この意味で、「構造改革は実は国民一人一人のライフスタイルの改革だ」という竹中平蔵経済財政担当相の意見に深く賛同する。

最近、まわりから「将来に夢がもてない」とか「希望がない」という声が多く聞かれる。それも、国の制度やら景気のせいでだという。確かに、あまりにも現状維持や個々の利益を追い求めるあまり「合成の誤謬」で全体の利益が損なわれていると私も思う。しかし、これは実は80年代以降(いや実はそれ以前もそうだったのかもしれないが)の「モラトリアム」世代が中心世代になりつつあるという現象ではないか?「やりたいことを見つけるために大学に行く」という言葉がキーワードになってしまった大学生が、そのまま「やりたいこと」が見つからずに日本の社会をささえなければならないコア世代になっている。社会人にになってしゃかりきにならなければならない年代(ちなみに自分は現在36歳だが)であるにもかかわらず、「そこそこ仕事をして、そこそこ幸せならいい。格別やりたいことなどない」というせりふをよく聞く。これに輪をかけて人口が減少していけば、日本に活力など生まれるわけはない。ただ、逆にいえば野心的な人間に圧倒的なチャンスが生まれうる時代になってしまっているのかもしれない。

FMのニュースを聞いていて、景気刺激策の補正予算がきまりつつあるという。真水だの事業費だのと3兆円もわけのわからんことに追加予算だすなら、素直に子育てと出産の超奨励をしたらよいのに。たとえば、新生児が生まれるたびに100万円ずつだしても、3兆円あれば100万人分!新生児が100万人生まれると、それだけで、出産費用30万円、新生児の準備30万円、年間のおむつ代、ミルク代3万円×12ヶ月=36万円、合計106万 × 100万人で、1兆円!かるく3年で元をとってくれて、しかもGDPを押し上げてくれる。まあ、この政策による新生児の増加がせいぜい3分の1だとして30万人。30万人が年80万ずつ(じゃ生きることすらできないだろうけど)「消費」したとして、平均年齢80年として19.2兆円!やはり、かなりの消費の呼び水効果が超長期間に渡って期待できる。

「子供」というのが一番確実で、一番投資効率のよい「投資先」であり、「政府支出」先である気がしてならないのだが、諸兄は如何?

そうそう、この前久しぶりに(X-I)+C+I+Gという式を見た。これって「貿易でも、消費でも、投資でも、政府支出でもお金を使えばみな同じ」と読むのだろうけど、実は乗数が違うとか政府と民間の効率の差とかいろいろお金の使い勝手が違う。ましてや、将来の国の競争力を高めるのか、減らすのか、消費等が増える投資なのかどうか...同じお金でもかなり使い勝手は違う。

ふと、気になって日本の人口動態のシュミレーションを60年分表計算で作ってみた。かなり適当な数値を入れてやったのだが、割とまともな値が出てきて30年後までは国の推計と数パーセントの誤差(あ、もちょっと大きいかな?)でシュミレーションできた。もっと、ぜんぜん違う答えが出て「国はうそをついている」とか発見を期待していたのだが、そうでもなかった。30年後は人口総体で1000万人減り、15歳から60歳までのいわゆる労働者人口で2000万人減るという結果は、やはりショックを感じるべきなのだろうが、数字で見てしまうと割と実感がない。現在の労働者人口6000万人が3分の2になってしまうということに危機感をもっともっと募らせるべきなのだろうか?ちなみに、これが危機なら人口が半分になってしまうという60年後は壊滅だ。自分は生きていなくとも自分の子供たちは生きている時代である。恐ろしいことだ。

2003.6.21

2003.11.1 シュミレーションデータ公開

2011.12.12 誤字など修正。