HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

気まぐれ経営者とサンプリング

多くの企業グループを見ていると、創業者もしくはカリスマといっていい経営者が意思決定をしている間は大きく成長していくが、サラリーマン企業になっていくとどこかでなにかがおかしくなっていき、絶対安心と思われていた企業が衰退していく。なぜなのだろうか?

たぶん、「これくらいはいいだろう」とフィージビリティが不足していても、被買収企業の先行きが不安であっても、企業買収をして成功した事例が東芝、郵政の中心的な人物にあったのではないだろうか?石原完爾と同じ構造だ。石原完爾はまだ、他に対して抑制する言動をその後していたが、東芝内部にはそれすらないのだろう。

hpo.hatenablog.com

90年代後半には、ジャスコを経営するイオン、ローソンのライバルであるセブン-イレブンの当時の親会社イトーヨーカ堂などが業界をリードするようになっており、当時の世間からは「ダイエーには何でもある。でも、欲しいものは何もない」と揶揄されるようになった。中内自身も晩年、「消費者が見えんようなった」と嘆くこともあった。

中内功 - Wikipedia

凋落に拍車を掛けたのが功氏の長男の潤氏(59)だ。33歳で副社長に就くと、欧米流倉庫型店舗のハイパーマート戦略に失敗。赤字を垂れ流し、そのツケでダイエーにカネが回らなくなったのだ。

屋号まで消滅 ダイエー創業一族「2人の中内ジュニア」は今|ビジネス|ニュース|日刊ゲンダイDIGITAL

4割強が「すでに消滅」~会社更生法を申請した上場138社の追跡調査から ResearchNews[リサーチニュース]

思いつくままにぐぐってみた。あまり決定的で、明確な例はでてこない。それでも、「一国は一人をもって興り、一人をもって終わる」という言葉はただしいように思う。もちろん天に向かってつばする言動だとは自覚しながら、自分を戒めるためにもリーダーシップのあり方をよくよく考えていなければならない。

思うに、企業が統制をとればとるほど、その企業の「ランダム・ウォーク」に相当する部分がなくなっていくのではないだろうか?グーグルのような会社ですら、企業の買収を次から次へとおもなっているのは、大企業になり経営者の「気まぐれ」とでも言うべき部分が実現がむずかしくなるからではないだろうか。アイデアの種を強引に社内で具現化すれば、経営者の権力濫用だと言われかねないのがいまのご時世。しかし、統計が証明するように、サンプリングはランダムでなければならない。統制されているトライアルではその企業自体の強みが出てこない。経営者はある程度気まぐれでいいし、その気まぐれが人としての限度を超えない限り、具現化できる風土が会社には必要だと私には思える。

中内功氏を例としてあげてしまったが、ダイエーが数多くの人財を排出しているのは事実だ。経営者自身が後継者を常に考え、トライアルを重ねるしか企業の存続はないのだと最近考えている。

「赤の女王」が人類を自己家畜化

いまや、人間の次に繁栄している種は家畜化された動物達だと言っていいだろう。マット・リドレーは豊富な例を「赤の女王」の中で引いていた。

例えば、牛は全世界で十億頭も飼育されている。一方、牛の仲間であるカバは絶滅危惧種だ。

■ 世界の牛(国別飼養頭数)
(中略)

(単位:千頭 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
合 計 1,021,869 1,025,053 1,019,634 1,006,555 1,010,722
世界の牛(飼養頭数、生産頭数、輸出頭数、輸入頭数の推移)

尚、カバは国内の動物園でもよく見られる動物で、かつてはナイル川周辺やサハラ砂漠より南のアフリカで広く見られたが、近年は生息地の開発や破壊などによって個体数は減少しており、現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されている。

動物図鑑/カバ

家畜と人間の繁栄の関係については、「銃・病原菌・鉄」で語られていることは有名だ。

orangestar.hatenadiary.jp

マット・リドレーは性の多様な形の探求を通して、最終的に性は人間による人間自身の家畜化の手段であったと結論づけているように思う。

有史以来人間は、多くの動物を自分たちのために飼育し、繁殖させてきた。その利用目的は様々で、食肉、乳といった食料を得るため、毛皮や角などの日用品を得るため、役畜として畑を耕すため、移動のために騎乗するため、狩りのパートナーや愛玩用のためといったものがある。人間の管理下での繁殖の過程において、それらの動物には様々な変化が起きている。その一部は、より有益なものを選んで繁殖させるうちに、その特性が強化された、いわゆる品種改良の結果である。
しかし、それ以外の部分にも共通してみられる変化が生じており、これらの変化を総じて家畜化と呼んでいる。

家畜化 - Wikipedia

もっと強調していえば、男は女を、女は男を、「有益化」し、「家畜化」してきたのが人類の歴史なのだと。人類はすでに「家畜」であるがゆえに「文明」という牧場、「政府」というカウボーイ(cow poerson?)なしでは生きられない。ちょっと恐ろしいが、性の問題は人類の現在、家畜性を説明している。

赤の女王は流行がお好き

もう少しだけ「赤の女王」の話題。マット・リドレーがしきりに「不思議だ」と語っていたのが、女性のファッション。ファッションには服装だけでなく、体型の好みも含まれる。

例えば、現在のダイエット狂い。ヒトの男子の性的な行動には、これまでいくつのエントリーをあげてきたように女子(場合によっては複数のに自分の子をいかにたくさん産んでもらえるかがベースにある。そう考えると、細ければほそいほどいい、痩せるためなら摂食障害になるリスクも惜しまないという現代女性の行動が説明つかない。

実は、ヒトは二足歩行を始めたときから、骨盤の大きさに限界を運命づけられてしまった。四足の時にくらべて、二足では股関節に負担がかかり、骨盤の開きが狭くなってしまったという。従って、お尻の大きな女子のほうが子供を生みやすいということになる。実際、米国人は女子のバストよりもヒップにセクシーさを感じるという。多くの日本人おっぱい星人には不思議な現象だろうが、性的好みは仕方ない。

で、実際女性の体型の分析をすると、身長体重比から言って細身の女子のほうが腰がしまり、ヒップが大きく見えるのだそうだ。たしかに、それこそアリスの赤の女王のようなドレスを着ている近代以前の女性のコルセットとスカートは、腰を締めることによってヒップが強調されている。これが唯一の説明なのだが、マット・リドレー自身がこの説明に納得していない。

更に不思議なのが、スカートの丈。長くなったり、短くなったりで安定しない。ダイエットのはやりすたれ(?)よりも、一定しない。考えてみれば、千年前の源氏物語にすら服装の「今様」という言葉が出て来る。男子側のセクシーさ、性的行動は、これまた源氏物語の昔から対して変化していないのに、女性のファッション、服装、化粧の変遷はどうだろうか?

たぶん、異性の過剰な刺激が好まれるからだろう。孔雀のオスの尾羽根の長さは、当初ちょっとしたメスの好みの差であった。それが、一夫多妻制で一番メスから好まれるオスだけが生殖の機会を得る孔雀社会においては、雪まろげのようにメスの好みとオスの尾羽根の長さが過激に走っていた結果が現在の孔雀のオスの尾羽根になったという。

人間の場合は、遺伝的な異性の好みと適応、いわば赤の女王の軍拡競争が、ゆっくりとした遺伝子レベルでなく、女子の認知の間で起こってしまうのだろう。シーズンが変わるたびに、株価の美人投票、メスの孔雀のオスの選択のように、自分の仲間が好む特徴を自然と選択してしまう。このため、本来遺伝子レベルなら数千年、数万年かかる「赤の女王」効果が毎年のように変化していくことになる。そもそも、他人に先駆けながら、これからのファッションを取り入れた女子はより男子の目に止まりやすくなる。

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そして、マット・リドレーがひとつの結論に達したように、他の動物とくらべて認知により行動はおろか、好みまであっという間に変化させてしまうヒトの異性へのアピールの仕方は、どこかで自分に自分の好みを適用してしまうといえる。一般に動物は、それこそ孔雀のようにオスの側が強い性的なアピールをする。ライオンのたてがみ、鹿の角など枚挙に暇がない。しかし、この実に柔軟性に飛んだヒトだけは、女性の方がより性的なアピールを自分自身に身にまとう。そもそも、ファッションという概念があったのかと疑うくらい古代、いや太古から、ごく近いいとこのゴリラや、チンパンジーとはことなる性的な特徴をヒトの女子は身につけてきた。大きな紡錘状の乳房や、腰回りなど・・・。性的なアピールを男子に期待するあまり、自分自身の評価をも性的な目で過剰に適応してしまうために、「流行」が生まれると考えられないだろうか?


そうそう、類人猿のいとこたちと比べて、逆に性的な興奮、繁殖時期のアピールを隠蔽するのも、「不倫」好きの我がヒト属の特徴だそうだ。

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誠にまことに、色の道は深い。

因果律と救済

大変尊敬申し上げている方のご講話を聞いた。ご講話の中で繰り返し「因果律」について話をされた。この方自体が素晴らしい経営者で人格者であり、また聴衆の方々も実績をあげている経営者や、すぐれた会社の社員という幸運を実感している人々なので違和感なく受け入れられていた。結局、自分の人生自分持ちだと。自分が「因」であり、自分の人生は「果」であるという意味だと受け止めた。古いふるい造り酒屋のご当主のお話を思い出した。

この世の中、そう簡単にうまくはいかない。そういう法則が流れている。でも一つだけうまくいく方法がある。 それは100%、自分のせいにしてしまうことだ。

たったひとつのものごとをうまくいかせる方法 - HPO機密日誌

運命や宿命というものもある。回復が見込めない病に苦しむ人もいる。自分のせいではないとしか思えない貧困の中からぬけだせない人もいる。とてつもない不幸の中にいる人々に働くのは、いかなる因果律なのか?「なぜ私が?なぜこのような不幸が?」と思うのが人の常だ。

「因は縁にあって果を生じる」と仏教でいうときに、縁とはネットワークなのだと知る。どの「因」という砂粒によって「果」とうい雪崩が起きるかわからない。「縁」に因果のモーメントは貯められている。

因果の間の縁 - HPO機密日誌

そのような方に、「因と果の間に縁がある。悪い因縁を断ち切らなくてはならない」と話しても、救いにはならないだろう。何人かの人にとっては、間違いなく因果律の自覚が救済なのだ。が、そこには非常に大きな罠がある、自己憐憫だ。多くの人はこの自己憐憫の罠に落ちると抜け出せない。

それでも、そのような不幸に遭った方に対して、少しでも手助けとなる手はさしのべても、因果律を基に「あんたのせいだ」と蔑む行動は決してあってはならない。それこそが、「差別」なのだ。そして、小さなことでも差しのべた手はよき因縁、よき因果を産むと信じる。

べき分布のグラフを見ていると運命論的に、強いもの大きいものの「winner takes all」な状況は固体化されてしまっているように感じるが実は違う。常に小さきものの中から独自性をもった大きなものへの運動が起こり続け、強いもの大きいもの少ないものが倒されていく中で均衡をとっている。倒されるときにサイバーカスケードが起こる。それは、あたかも、極小から極大へ向かい、極大の中に次の極小がの種が埋め込まれている大極のごとくだ。

小さきもの、弱きものへの慈悲 - HPO機密日誌

どのような不幸、生老病死があっても、人には救いがもたらされるとキリスト教は言うのだろうか。私にはそうは思えない。

赤の女王はなぜ近親相姦を禁忌したか?

ちょうど、マット・リドレーの「赤の女王」が佳境に達している時に、近親相姦についてのエントリーがあがっていた。正直、言いたいことはわかるという気持ちになる。

anond.hatelabo.jp

ただし、この議論には父親からレイプに近い形での娘との近親相姦は除いたほうがいい。現実に、警察などの発表によれば現在でも、このケースは後を絶たない。現在の社会的な近親相姦に対する忌避がなくなれば、家族内の性的な暴力は増えるであろう。これが刑法を超えて、現代社会においても刑法を超えて近親相姦が忌避される背景だとは想う。当然、この議論から除くべきケースに父親=娘関係ように血族内でハラスメントといえるほど優位性と劣勢をもったケースは除くべき。

その上で以下の議論をしたい。まず、ここにコメントした。

成長の上の臨界点があって幼い時から一緒に育った男女は互いに性的魅力を感じない。社会制度的には権力、富の集中を忌避するために近親相関を宗教まで使ってタブーとしたと。

成長の上の臨界点があって幼い時から一緒に育った男女は互いに性的魅力を感じない。社会制度的には権力、富の集中を忌避するために近親相関を宗教まで使ってタブーとしたと。 http://hpo.hatenablog.com/entry/2017/09/09/121425 - hihi01のコメント / はてなブックマーク

ここで言う「臨界点」とは、例えば生まれたばかりで動物学者、ローレンツにあったハイイロガンの話しだ。ハイイロガンのひなは、生まれてから一定の時期までに目に入った物を親と認識してしまう。しかし、それはごく一時期。逆に、ある特定の時期にテストステロンが分泌されないと、男性になれないなどという臨界期もある。

マット・リドレーによると、あまりに幼い時代から知っている親や、兄弟姉妹に性的な魅力を感じなくなる臨界期もあるという。自分が赤ん坊の時からみてきた家族の裸を見て性的に興奮していたのでは、家族がなりたたないだろう。

幼年時代に非常に親しかった友人同士も結婚しないはずだ。この事実を裏付ける格好の証拠が二種の資料から得られる。イスラエルキブツと中国古来の結婚制度だ。キブツでは血縁関係のない仲間といっしょに託児所で育てられる。終生の友情は培われるものの、キブツの仲間どうしはめったに結婚しない。また台湾では、シンプア結婚と呼ばれる結婚に従う家鶏がるが、それは、女児をあらかじめ決められたいいなずけの家族が育てる制度である。つまり実質的には、いっしょに育った義理の兄弟といずれ結婚するわけだ。もうしたカップルは子どものいないケースが多いが、その原因は主に、パートナーが互いに性的魅力を感じないからである。これとは逆に、別々に育った兄弟姉妹は、適齢期に出会うと、意外なほど恋に陥りやすい。

社会制度的には、レヴィ=ストロースの研究が明らかにしたように私の知る限りの全ての社会、全ての部族社会において複雑な近親相姦に対する忌避制度が存在する。これは、西欧中世のカソリック教会に代表されるように、富が家族内に集中して既存権力を覆す恐れをなくすために作られたのだと指摘されている。

聖職者(廃嫡された末の息子たち)は、教会の富を増す目的で、あるいは自分自身のために財産と称号を奪還することさえも目指して、性の道徳観を操作したのだ。(中略)事実、教会と国家の争いは、富の集中をめぐる争いの数多い歴史的事例の一つにすぎない。長子相続制は、富と一夫多妻の可能性を孫子の代まで損なわずに維持するための最良の手段なのだ。

逆に、カソリック教会の聖職者達の性的な堕落は広く知られているし、古代エジプトのいくつかの王朝においては臣下はすべて近親婚を禁じられていたにも関わらず、王だけは姉妹と結婚する権利を持っていたという。

最初に書いたように、近親相姦、近親婚を社会的に認めることは自立以前の子供たちへの性的虐待につながりかねないので、現代社会においても禁止されるべきだが、「なぜ」と言われればマット・リドレーの答えは蓋然性が非常に高いように私には想われる。

北朝鮮の160キロトンの原子爆弾

北朝鮮の核実験は相当恐ろしい結果であった。前後をtogetterでまとめた。

togetter.com

なにより恐ろしいのは、160キロトンの水爆かもしれない原子爆弾金正恩が自ら示した核弾頭ほど小型化に成功しているかもしれないということだ。

www.bbc.com

これだけの大きさの弾頭であれば、ミサイルのICBM化を待つまでもなく、船でも、トラックでも運べてしまう。しかも、ある程度の量産体制が出来ているのだとしたら、テロを誰も止められない。ワシントンで、北京で、モスクワで、東京で、いつでも爆発できる体制になったと宣言すればいいだけなのだ。もし、それを排除しようとすれば爆発させると脅せばいいのだ。もはや、ことここまでくれば断首作戦か、北朝鮮を核保有国として認めるかの二択しかない。

ということで、原爆のシミュレーションサイトで、160キロトンとはどれくらいの威力なのか試してみた。まずは、東京駅の地上レベルで爆発したと想定した。

nuclearsecrecy.com

そして、これは東京駅上空での爆発の場合。

テロ、ヤクザ(無法者)国家とはウィン=ウィンではなく、ルース=ルースの戦略を取りかねないことが恐ろしい。

gendai.ismedia.jp

男と女の性的嗜好の差の淵源

一般的な鳥と人間の性が似ているとマット・リドレーは言う。どちらも、多くの雌雄、男女によって構成される群れ、社会で生きながらも、一夫一婦制となっていると。人間とは遺伝的にはごく近いはずの類人猿たちの雌雄の性は非常に多様だ。そして、類人猿の性の典型的な形である一夫一婦、一夫多妻、乱婚型型かに応じて、睾丸の大きさ、ペニスの大きさが異なる。

睾丸の大きさ(グラム) ペニスの長さ(cm) 性交時間(秒)
ヒト 14 12.7 240
チンパンジー 110 7.6 15
ゴリラ 4.5 3.2 60
セックスは生殖のためにあらず - 赤の女王とお茶を

ゴリラは一夫多妻型であるので、雌を独占しているので精子の注入量は少しでも雄は自分の子供を産ませることができる。これに対し、チンパンジーは群れの中で乱婚であるので、他の雄が性交をした後でも、自分の精子を大量にかつ卵子にまで届かせなければならないので、大きな睾丸、長いペニスが必要となる。性交時間が短いのも群れの中の多くの雌と多くの性交を持つ必要があるから。

人間の睾丸、ペニスは、ゴリラよりも大きく、長く、チンパンジーよりは小さく、短い。類人猿の中では、遺伝的には一夫一婦制を忠実に守る種と、乱婚の種との間と分類される。では、実際にはどうなのか?ここで鳥との比較が出てくる。前回、引用の代わりに画像で代用した部分を書く。

(ベイカーとベリス)二人の研究は選ばれたカップルから収集したサンプルと、雑誌のアンケートに回答した4000人の調査に基づく。(中略)卑見の婚外交渉について訪ねたのだ。夫に忠実な女性の場合、オルガスムの55パーセントは持続性の高い(妊娠率の高い)タイプであった。不倫をしていた女性の場合、妊娠率の高いタイプのオルガスムは、夫との性交では40パーセントであるのに対し、恋人との性交では70%であった。しかも意図的にしろ、そうでないにしろ、忠実でない女性は一ヶ月のうちで一番妊娠しやすい時期に恋人と交渉をもっていた。つまり、こういうことである。被験者のうち、夫に忠実でない女性は、恋人との性交渉よりも夫との性交渉を倍もったとしても、それでも夫の子どもより恋人の子どもを妊娠する可能性がわずかに上回っていたのだ。
ベイカーとベリスは、こうした結果を、男女間の進化的軍拡競争、すなわち赤の女王ゲームの証拠であると解釈した。しかしそれは、女性が進化的に一歩先を行っているゲームである。男性はあらゆる方法で父親になるチャンスを増やそうとしている。(以下略)

マジで女は産みたくなったら子供を産める - HPO機密日誌

「男女間の進化的軍拡競争」というのは、男、夫側はより明確に不倫を行うことができるから。女、妻側としては自分に望みうる自分と子どもの面倒を見てくれる夫を確保しておいて、より自分の望む男との間の子どもを産むことができるというメリットがある。書いていて、気が滅入るばかりなのだが・・・。

なんとカッコーだけだと思ってた托卵、メスの不倫が鳥一般で四割だと言う。メスに協力してオスは精一杯巣作りに励むのに、そこで育つ卵の四割が他のオスの精子による卵だなんて耐えられない。この事実は人間においても、当てはまる可能性があると。言うまでも無いが、男、オス側にはその子供、卵が本当に自分のものか確証はない。

托卵四割 - HPO機密日誌

さすがに四割までは達しないらしいが、一般に想われているよりもかなり多く、夫は自分以外の子を育てさせられているらしい。

彼ら(ベイカーとベリス)は人間における妻の不貞の程度を測定しようとした。リヴァプールのある集合住宅で遺伝子鑑定を行った結果、戸籍上の父親の実際の子どもであったのは、5人につき4人以下であった。残りは明らかに第三者が父親であった。

更に、男女の性的嗜好にもこの「軍拡競争」は影響すると想われる。

(エリスとサイモンズによればいくつかの男女共通の性的「妄想」以外の)他のあらゆる項目では、男女間に大きな相違が見られた。男性はセックスの妄想にふける頻度が高く、空想するパートナーの数も多い。三人に一人の男性がそれまでに、1000人以上を空想したと回答した。それほど多くのパートナーを空想したのは、女性ではわずか8パーセントである。女性のほぼ半数が妄想中にパートナーを交換したことはないと回答し、男性の場合はそれがわずか12パーセントであった。男性にとっては、パートナー(たち)の視覚的イメージが、触覚、相手の反応や感情、情緒よりも重要であった。女性の場合はこれと逆だ。相手の反応よりも自分自身の反応に妄想をめぐらせる女性は、男性の二倍いた。しかも女性は圧倒的に、なじみの相手とのセックスを空想するのだ。

ということで、以前引用させていただいたオナニー好きの女性のひと言は決して特殊ではないということになる。

“人間相手で挿入されるのが気持ちイイと学習する場合、丸1年間、セックス時に相手を気づかってくれる男性と根気よくセックスしなくてはならないが そうゆう男性にはもれなくすでに他の女がいる。”
たのしいディルドオナニーのやり方 - Togetterまとめ

http://hpo.hatenablog.com/entry/2017/07/27/233000

更に、同性愛と遺伝子とホルモンの関係についてマット・リドレーは述べている。男女格差の問題、同性愛と異性愛の問題は、国民全員(特に男に)ホルモン投与すれば解決しうるとシニカルに述べている。

ともあれ、ことほどさように男女の性は性的嗜好から結婚の形態に至るまで男女間の「軍拡競争」の結果であるということになる。男にとっては恐ろしい結果ではある。その感情面については別のエントリーを改めたい。