HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

台風一過のお掃除

昨日はとにかくすごい風だった。今日は、朝から自宅の土地まわりの倒木やら、飛んできた枝の片付けを行った。こういうのって誰にも頼めない。

現代社会において、土地を所有することは、草刈りや、片付けや、税金こそふえ、ひとつも得なことはないなと。この意味では、日本こそ最も完全に近い共産社会であると身をもって感じた。

「人間の建設」を読み始める

岡潔小林秀雄の対談。小林秀雄の文章はいくら読んでもわかる気がしないのが、この対談はよく伝わる気がする。

人間の建設 (新潮文庫)

人間の建設 (新潮文庫)

昨日、クイズ番組で「男性は作品を創る。しかし女性は○○を創る」を埋めよという問題が出ていた。高校生がしばらく考えた上で「女性は男性を創る」と答えたのは立派だった。学問をするにも、社会を構成するにも、まずは「人間の建設」が先だということなのだろう。

岡潔という人は全く知らなかったが、大変共感するところがある。「数学における感情」とは、まさに「数覚」の問題だ。「感情」の問題からアインシュタイン量子力学の矛盾の問題へと論が進んでいる。

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もうひとつ、岡潔が二言目には「人類が生き延びれれば」ということを言う。これも百万光年の孤独というか、いまだ知的生命体と接触できないというのは知的生命体があまりにかよわい存在であるという証左である気がしてならない。

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個性と理性というか、個性を重んじるのは無明への道だと。自分を捨てて学問の道を進むところにこそ、我ではない、真の個性の発揮があるという話しも感銘を受けた。

先を読むのが楽しみだ。

成功した人

珍しく宋文洲氏のメルマガをまじめに読んでしまった。題して、「なぜ成功した人に離婚が多いか」。多くの人は凡人と凡人で好き合って結婚する。半分以上のカップルは、恋愛感情が冷めてしまってもお互いをそれなりに認め合い、結婚生活を続ける。しかし、その中で夫か妻が成功してしまうと事情が変わる。周りのその人を見る目が変るからだ。

ところが、成功した彼や彼女が家に戻ると別世界が待っています。成功の事実を知っていても凡人の彼や彼女を知っている相手にとって、成功以外は何一つ変わっていないのです。相変わらず排泄し、体の欠点を晒し出し、些細なことでイライラする凡人の姿です。成功するまでの彼や彼女を支えた自負(本当は普通にしてきただけの場合が殆どですが)と、彼や彼女を見付けた自慢が混ざり合って、凡人以下に見える相手にはとても尊敬や羨望もできません。

なぜ成功した人に離婚が多いか: 宋文洲のメルマガの読者広場

離婚経験者である私には反論のしようもない。この文章の冒頭には、「成功すれば傲慢になるからです。結婚相手の恩義を忘れるからです」とある。誠に自分に反省すべき言葉だ。

そんなことを想いながら、たまたま「逆襲のシャア」をAmazonビデオでみた。この前勢いでプライム会員になってしまったので、実質無料で「逆襲のシャア」!

宋文洲氏の指摘の通り、権力を握るとこれまでとつきあう女(男、以下自分の性に応じて読み替えてください)が変わってくる。シャアのように女を利用する男も出る。ナナイ、クエスとそれぞれ深さは違うが、仕事の上での部下を自分の女として使うパターン。もともとナナイは、心からシャアを尊敬していたに違いない。その尊敬を愛に変えるのはそんなに難しいことではない。シャアは、ある意味母親のやさしさを知らない。高貴な出自であり、あふれるほどの才能、リーダーシップがあるにも関わらず女を利用価値でしか愛せない。有名な「ララァ=スンは私の母になってくれるかも知れなかった女性だ」という台詞の裏には、母のやさしさを知らないシャアの悲しい生い立ちがある。ララァだけは、自分のすべてを受け止めらてくれたと、シャアは最期まで想っていたに違いない。ともあれ、異性からの愛を仕事に利用するということは決して褒められた行為とは言えない。

他にも、新たに達した同等のレベルの女性とつきあうという道もある。アムロとチェーンとの関係がこれだ。これも一時的にはうまくいくかもしれなが、それぞれ立場があるため永い目ではパートナーの関係を保つのが難しい。チェーンが生き延びれたとしても、10年後まで二人の関係は続けることができたか?他にもケーラとアストナージ、ミライとブライトなど、様々な男女関係が「逆襲のシャア」では描かれる。

ちなみに、前回見たときはまったく印象が違った。名作というのは、見直す度にその時点での自分の在り方に応じて、意味をくみ取れる作品でもあるかもしれない。

hpo.hatenablog.com

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [DVD]

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [DVD]

日本科学技術館屋上トライ

シン・ゴジラ」に出てくる屋上に上りたくて日本科学技術館に行って来た。結局、屋上は閉鎖されていて上れなかったのだが、ほぼ1日楽しんでしまった。

www.jsf.or.jp

すべてが体験型であり、子供から大人まで興味をそそられる。各展示室毎に業界団体が割り振られていて、NEDOとマスコミ、鉄、化学、自動車など、主要産業が網羅されている。さながら、ミニミニ万国博覧会状態。当然入り浸ってしまったのは、建設館。

4F 建設館 展示・実験ショー

実際に設置されているタワークレーンが操作できたり、トンネル掘りの結構まじなシミュレーションができる。中でも、大感激は実験。

www.youtube.com

当然、知識としては制震技術は知っている。だが、こんなに簡単に目の前で制震を見せられるとは想わなかった。これなら、子供でも一発で理解できる。

すべての写真-1481

101と九份 - HPO機密日誌

いやいや、楽しい一日だった。ぜひまた行きたい。

飲んべえの邂逅

ちょっとした集まりがあり、地元を離れた場所で楽しく飲んだ。が、参加者がだいぶノンアルコールな人が多く、飲み足りず一人二次会に走った。

そこで飲んでいる内に、ちょっと絡んできた方がいた。うーん、じっくり飲みたいのになと想っていたが、結局名刺交換するはめに。と、なんと!と驚くほど仕事の上で近いお勤め先。しっかり、自分の仕事について熱く語ってしまった。「大きくするよりも、地元で必要とされる企業でありたい」、「そのためには適正な社員数を維持していきたい。バス1台で社員旅行に行ける規模がその目安」などなど。あー、恥ずかしい。

年を取れば取るほど、顔は広がっていく。ますますプライベートとパブリックの境目が存在しなくなっている。どのような場面でも自己を律することが大事。

「稚内信金は地元と共に繁栄します」

稚内ってどこだっけ?と「捨てられる銀行」の稚内信金の話しを読みながら想った。

捨てられる銀行 (講談社現代新書)

捨てられる銀行 (講談社現代新書)

日本の北端。ロシアにいまだ占領され続けている北方領土に近い。そんないわば「さいはての地」で地元重視で素晴らしい経営をしている信金があると。

ホームページを開いただけで、地元重視の姿勢が伝わる。

稚内信用金庫HP

稚内しんきん

稚内信金は地元と共に繁栄します」というキャッチフレーズがいい。いきなり、トップページから地元の経営者の紹介ページに飛ぶのも素晴らしい。そして、これだけ地元重視の姿勢を貫きながら自己資本比率が60%超というのだからぐうの音も出ない。

稚内信用金庫(わっかないしんようきんこ、英語:Wakkanai Shinkin Bank)は、北海道稚内市に本店を置く日本最北の信用金庫である。経営の安定度を示す数値である自己資本比率は63.99%(2015年3月現在)と信用金庫では他に類を見ない驚異的な数字を示しており、国内金融機関でも最高レベルを誇る。

稚内信用金庫 - Wikipedia

クルーグマン教授はご著書の中で「情報が行き渡れば金融機関の存在価値はなくなる」と断言していた。

クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫)

クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫)

「金貸しは実は生産性が低い。資本に関する情報が行き渡れば、金利はどの経路で借りても同じになり、彼らの仕事ではなくなる。」

生産性と賃金 - HPO機密日誌

稚内信金の顧客は絶対に金利の高い、低いで取引をしているのではないだろう。

北の経営者

稚内しんきん » 北の経営者たち(バックナンバー)

「捨てられる銀行」では増田理事長が「高い自己資本はすべて地元の繁栄のために使うためにある」と断言していらっしゃると紹介されていた。実際、空港、港湾などにも信金が(!)投資を行っているという。また、地元企業への融資も「疑似資本」として働くように長期的な視野で行われているという。

資金調達面では、高金利で集める大口預金には興味がなく、地道な営業活動でコツコツ積み上げる小口主義で着実に預金は伸びている。資金運用面では、市場規模が大きい札幌旭川地区での融資推進に期待しているが、ここでも、見かけの貸出金残高にこだわった無茶な営業活動は厳に戒めてきた。ひとえに、本店を中心とする主営業地区における資金供給者としての役割を第一義的に果たすための融資戦略だ。

株式会社金融経済新聞社│キンケイ│東京都│金融経済新聞発行│フィンテック│金融専門紙

大変、興味深い。

医療と外部不経済

医療関係のたまごな方と話しをした。経済学は医療に関係ないから勉強する必要がないと想っていると。いやいや、医療活動の源泉である社会保険制度自体が破綻しそうなんだから、経済学は無縁ではないよねと。

blogos.com

社会保障とは、外部不経済、市場の失敗を制度として補うものだと説明した。アメリカの例を引いて、市場経済は動いていても保険制度がきちんと働かないと日本で千円で買える薬が百ドルも、二百ドルもしてしまうことになったりすると。そして、すでにきちんと保険に入っている人達にとっては、所得が低い層が保険制度に入ってくることは歓迎されない。米国には、メディケア/メディケイドという通常の保険ではカバーされない層のための医療保険、高齢者保険が存在するが日本のようにはうまくまわっていない。これは外部不経済であると。

ちょっと自信がないので、その後復習。

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市場の失敗と公平性・社会問題

失業、貧困、犯罪率増加、自殺などの社会問題や格差社会の発生は、従来の定義では経済的な「公平性」が達成されていない現象に属し、定義の上からは市場の失敗とは別の分類であるとされた。しかしアマルティア・センらの研究などにより社会的費用の拡張が試みられ失業や貧困などの社会問題が経済成長などに大きく寄与することとなると貧困などの社会問題が市場の失敗と見なされるようになっている。

市場の失敗 - Wikipedia

経済学は何度かトライしているがいまだに苦手分野。人に勧める前に自分で勉強しないといかん。


■追記

言っている側から。

オバマ米大統領のレガシー(政治的遺産)のひとつだったオバマケア(医療保険制度改革)が窮地に陥っている。大手医療保険会社が収支悪化を理由に相次いで撤退を発表。事業を続ける会社も保険料を大幅に引き上げ、低所得者の加入ハードルが上がっている。オバマケアの存廃は11月の大統領選でも争点のひとつに挙がっている。